93年に結成したSamadhi(サマーディ)は2000年に一旦活動を停止し、2015年末に再起動を始めた。再起動後にこの「匣の吉丁虫(はこのたまむし)」という企画を始めたのだが、今回5回目のそれには、yabyum(スティーブン+チヒロ)、彗星ミトコンドリア(遊漁、あたしよしこ、伊藤誠、哲太陽、一談)、pd(酒井美絵子+大森菜々)、それにわれわれSamadhi(鈴木茂流、松田和彦、柳川芳命)にドラマーの丸市さん、パフォーマンスの後藤宏光さんを加えたSamadhi Plusの4バンドが出演。
この企画によってバンド・ユニット同志のネットワークが広がっていくことも付随成果である。こういう毛色の違う4バンドが一堂に会することも稀有であろう。
Samadhi Plusのかたちでもう5回目なるので、打ち合わせや筋書きが全くない集団即興であっても、各メンバーが出るところ引くところをわきまえて、お互いの表現を引き立て合っての即興アンサンブルができるようになってきたと思う。定型ビートが随所に出てくるのも特徴で、そのあたりの丸市さんと鈴木茂流さんのコンビネーションのよさが光る。また最近の松田和彦さんのギターは、技量・発想・構成ともにとても充実しているように思う。最近何かあったのだろうか? 後藤さんのパフォーマンスを観る者は、彼のある種の具体的行為の裏にある彼の思考の流れを解釈しようとするかもしれない。が、それは解釈しきれないままに終わるであろう。そういった無駄なことはやめて、ただ単に彼の行為を観て楽しめばよい(と思う)。
Samadhiはことし10月で結成から25周年を迎える。長寿の秘訣は何だろう?
<写真は遠路よく足を運んでくださる藤井さんの撮影>