Review: 無頼派即興二重奏@難波屋

藤田亮さんとの共演は、彼のソロ出演を除いてこれで10回目ぐらい。初めて共演したときから、息を呑む一瞬のあるインタープレイで、切れ味鋭いエッジの立った演奏になった。回を重ねるにつれ、終始向き合うかたちのデュオから、互いが自由遊泳する場面や、ズレから生じるオモシロサを楽しめるようになった。彼のドラミングは、ソロのときとはまた違った流動的なうねりが感じられた。シンバルの音の表情は多彩で豊かだ。その波動を浴びながらのサックス吹奏は「歌う」ことを触発する。いろいろなメロディーやフレーズが淀みなく浮かんでくる。この日は、会場の音響面で音量が制限されていたので、いささか抑えぎみでお互いに演奏した。そのことは、音量マックスのパワーで圧倒する演奏から、音量に頼らずパワーを感じさせる演奏をする、というタスクになった。

ファーストステージには、とても心が解放された男性客の合いの手と言うか、激励と言うか、意味不明な声が中盤から入り、その言葉の意味を解読できぬまま演奏を終える。我々の演奏を気に入ってくれたのだろうか? セカンドステージにはもう姿は無かったな。こういうお客さんは難波屋らしい。

セカンドステージは、二人でエンディングを迎えなければならない、という縛りからも逃れ、やり切って、もうやることが無くなったら潔く演奏を終えようと思った。最後はドラムソロで終了。こういう終わり方も悪くない。

Fujita20180531yanagawa20180531-2