2年4か月前に、この3人で初めて演奏した。それ以来の久しぶりの顔合わせである。新井田文悟さんとの共演はそのときが初めてで、以後、いろいろな組み合わせで共演させてもらっている。アルバム「柳川芳命2016」(CD)では、一曲目の藤田亮さんとのトリオで新井田さんのベースが聴ける。年季の入ったフェンダーのベースが、ストレートな音色、絶妙なフレーズを放って即興アンサンブルに食い込んでくる。
丸市さんは、82年結成(現在は発展的に解散)「人力音楽普及協会」というイギリスの「カンパニー」やオランダの「ICP」に匹敵する名古屋版即興演奏者集団を通して知り合ったので、もう35年になる。名古屋でも大御所と言われる即興ドラマーである。ロックでもジャズでもオールラウンドにこなし、そのグルーブ感は濃厚かつ鋭く、そして熱い。
このふたりによるリズム隊と共演する、ということは、大舟に乗った気分で安心して吹奏できるということである。この日改めて感じたことは、この3人、熱気の伝導が速いということである。一旦火が付けばあっという間に大火となる。アクセルを踏み込めばスピードメータを振り切るほど猛烈に加速する。とても一体感を得られるトリオである。戸惑いのない一打、一音の応酬が続き、気が付けば1曲30分を超えていた。やり終えた後、疲労感がない。個々のエネルギーが効率よく3人の音に変換されるからだろう。間違いないのトリオだな。