2018年7月15日(日)神戸Big Appleにて、
集まった14人の演奏者/ダンサー/パフォーマー等の中から、ネームカードを引くというランダムな抽出で、トリオ、デュオ、7人グループ、全員、という編成で、一定時間、何も決めごとや筋書なしに即興表現を行う、というものである。この日初対面だった人もいて、言葉を交わして挨拶するより先に共演するということもあった。すべては、その場、その瞬間の判断で「自分の出方」を考えることになる。否、「判断する」などというもどかしい思考回路など飛び越えて何かをやる(やってしまう)、ということのほうが即興の醍醐味がある。
唯一の制約は、トリオ10分、デュオ7分、7人グループ15分、全員10分という時間的枠組みがあり、その時間が来たら消灯で合図される、ということだ。このことは、「どのように演奏や行為を終えるか?」という集団での表現の終結パターンを考えたり、共演者相互で(言葉やアイコンタクトなどを用いずに、『そろそろ終わりにしませんか?』という)コミュニケーションを図ることから解放される。それは、共演中、どうやって終わりにするかを意識する必要が無くなるので、常に今現在の即興行為に集中できるということである。(勿論これは「共演者全員で一緒に終わりましょう」ということを想定しての話である。「やめたい者からやめればいい、全員で一緒に終わる必要などない」と、かねがね思って共演者にも言っているのだが、そういう形で集団即興が終わるケースはほとんどない。どんなに自分が興に乗っていてもっと演奏を続けたいと思っても、暗転すればその思いを断ち切って終わりにする。こういう外発的な終演の告知というのも良いものである。自分の中に染みついたエンディングの定型パターンから自由になれるからからである。
写真は主宰者でもある向井千惠さんとのデュオ。終わりごろ彼女はリュックサックを背負ってステージを徘徊した。この即興感覚は凄いと思った。