Review: Dual Expansion

最近名古屋でも注目されている京都在住のギタリストTake-Bowさんと、「Heal Roughly」でのパートナーである滋賀のドラマ―Meg Mazakiさんのデュオmuは、身体性を生かした演奏行為のダイナミズムが魅力である。約35分間の演奏の中で、さまざまな色彩のサウンドシーンを作り上げ、ストーリー性を生み出していた。演奏者相互の憑依的な集中力の中に、聴衆も思わず引き込まれていった。

大阪在住の藤田亮さんとは、初共演からもう3年数か月経つ。結構な回数を重ねてきた。新井田文悟さんを加えたトリオでの演奏は、「柳川芳命2016」のアルバムにも収録されている。近年はデュオ形態で、難波屋、Zac Baranなど関西でやってきた。彼はドラムソロのアルバムを4枚、シリーズでリリースしているが、どのアルバムを聴いても装飾をはぎ落したシンプルさが魅力で、「〇〇のようなドラマ―」と形容できない特異性がある。この日は、デュオ演奏をしていて降霊術、呪術的儀式の音楽をやっているような「畏の風景」がイメージとして浮かんできた。

どちらのデュオも共演者相互の心的交感をベースに演奏を積み上げてきているので、一期一会的な偶発性にエキサイトするデュオとは違った、何か深みのあるものを感じた。

fujita-yanagawa duo 1mu