Review:即興2018★炎暑の候

■2018年7月29日(日)愛知県岡崎市 「ひかりのラウンジ」

向井千恵(二胡/vo/kb/perc)河合渉(g)小林雅典(g)木全摩子(ds)柳川芳命(as)

対バン:バーバパングリン

■2018年7月30日(月) 名古屋市鶴舞 「K.D.japon」

向井千恵(二胡/vo/p/perc)鈴木茂流(b)木全摩子(ds)柳川芳命(as)

初顔合わせの人と、長年共演歴のある人が混在したメンバーが集まっての2日間の即興セッションだった。初日の「ひかりのラウンジ」では、デュオ2パターン、トリオ2パターン、最後に5人全員のコレクティブ・インプロヴィゼーション。2日目の「K.D.Japon」では、総当たりのデュオ6パターンと、4人全員のコレクティブ・インプロヴィゼーションを行った。

その場での組み合わせによる打ち合わせ無しの即興演奏なので、どういう方向に演奏が展開されるかは、やり始めてみないとわからないし、やり始めてもわかるものではない。

「私はこういうやり方をする者です」とアイデンティティーをさらけ出すこともあれば、「今日はあなたのまだ知らない私を披露しますよ」ということもある。お互いがこういうスタンスで臨むので、とにかくその一瞬に集中しないといけない。しかし、集中して他人の音を聴いてばかりいると自分の主張が無く、ついてまわりの演奏なってしまう。一方、自分がやることばかりに集中していると、他人の変化に気づかないていることもある。そのあたりのバランス感覚が大切だと思うのだが、それを身に付けた人との共演は、とても充実感が味わえる。こういう場面では、その人の人間性というか、その人の人間関係を作っていく姿勢が如実に出るので、即興音楽は作曲されたものを再現する音楽には無い面白さがある。人と人との関係性をその人が日ごろどう築いているのかは、即興演奏に反映しているような気がする。「即興演奏していて何が面白いのですか?」と聞かれたら、私は上記のように説明したい。

いずれにしても、この両日のメンバーは、そういうことをこれまでの即興演奏で追求してきた人ばかりなので、非常に親和性の高い演奏ができた気がする。演奏していて、自分の出した音が「居心地がよい」と言っているような気がした。かといって馴れ合いになっているわけでもなく、緊張感は並大抵ではなかったな。しかし、その緊張感がたまらない快感なのである。

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写真は7月29日「ひかりのラウンジ」でのもの。