Review:2018盛夏の即興音楽巡り4days

4夜連続で、同一メンバー(照内央晴/pf Meg Mazaki/ds  柳川芳命/as)で即興演奏をやるということは、自分にとって初めての経験である。これまでは、どちらかというと「一期一会」的な共演での即興演奏が多かった。しかし、この1~2年は、できるだけ同一のメンバーのグループで即興演奏を積み重ねて深め合っていくことに自分の興味は移行している。勿論そのような場合でも、曲を作らず、レパートリーを持たず、事前に何の取り決めも行わないで即興演奏を行うというやり方にこだわっている。グループのトータルカラーとかスタイルを作っていこうという志向は無い。グループを支えるための「一パートとしての私」という意識もほとんど無い。もっと個人主義的で、このメンバーとやると自分の表現がより力強く豊かで解放的になるというあくまでも自己中心的な考えである。

さて、この3人での即興プレイでは、誰がどんなカードを切ってくるかわからないスリルがあった。しかし、同じ人間が日ごとにそう変われるものでもない。4日間やれば、各自がどんなカードを手に持っているかという想定がある程度はできるようになる。それは互いを認め尊重する関係を築くうえで大事なことのように思う。仮に、ついていけないと感じる演奏を共演者がしたとしても、それを否定的にとらえず、次の演奏のシーンに転換するまで見守るということもできるようになる。今の話題に自分は入りたくないと思えば、あっさりと黙る。決して自分好みの話題に強引に持っていくようなことはあまりしたくない。それは、集団での即興演奏では、メンバーが対等な立場で、誰がリーダーで誰がフォロワーという関係性は馴染まないと思うからである。

やはりグループで演奏するのであれば、人間関係が大事な基盤かな。自由即興を集団で行うのであればなおさらであろう。そういう意味でこの3人は(私的には)自分を解放できる何かがある、と感じた。それにしても照内さんのピアノ演奏は、既存のあらゆるジャンルの音楽から中立の地平で、何にも染まらない純粋な即興演奏を行っている。この境地はただものではないな。

2018-08-13