Review:pd+1/芳垣-Solborg-Donner-Toldam

2018年9月21日(金) TOKUZO (名古屋・今池)

■Mark Solborg(gt)+Axel Donner(tp)+Simon Toldam(p)+芳垣安洋(ds)

■pd<大森菜々(p)+酒井美絵子(ds)>+柳川芳命(as)

pdとの共演は、2年前の夏にインテルサットでやって以来である。そのときの演奏の録音は、今回のライブを企画をしてくれた千葉さんにも聴いてもらっているが、今回の演奏では幾分進化が見られたと評価してもらえた。確かにpdは、昨今レジェンド級ジャズミュージシャンとの共演経験から、演奏の幅がうんと広がったと感じる。最初5分程はpdだけの演奏で始めたが、静謐でリリカルな風景を描いているようで、とても美しかった。

力が付いてくると誰かと力比べしたくなる、速く走れるようになると誰かと競争したくなる、そういうのは人間の本能的な欲求なのだろう。トリオになってからの演奏は、パワーとスピードを競い合うことへの快感があった。しかし、それだけでは単なる音の運動会になってしまうので、加速と減速、緊張と弛緩、高揚と鎮静、挑発と慰安・・・・そういったコントラストを織り交ぜながら、30分強、カタルシスを味わってもらえる演奏ができたかな、と思う。

芳垣さんとデンマークからのインプロヴァイザーたちのカルテットは、pd+1とは対照的な、集団即興の在り方だった。pd+1は、どちらかというと武道のような接近戦を通して3人が収束していく感じだが、このカルテットは、共演者相互のコール&レスポンスとか、ストーリー性ある展開を意識するとかは横に置いて、パーソナルスペースが際立った個人の自由度の高い集団即興だった。抽象絵画のスライドショーを見ているようで演奏が映像となって脳裏に焼き付いていく。これはやはりヨーロッパフリーの特徴か?

2つのユニット、それぞれ対極的で、一口に即興音楽と言ってもいろんなアプローチがあることを楽しんでもらえたかなと思う。

pd+yanagawa

quartet