Review:柳川-藤田デュオ+DJ F×U×K

2018年11月14日(水)バレンタインドライブ(名古屋 今池)

おもに名古屋と大阪とで活動するこのデュオは、大阪の「難波屋」ではワンマンで演奏したことはあるが、名古屋でのワンマンライブはこれが初めてである。対バンがいれば、ワンステージで30~40分ぐらいでその日の演奏は終わるのだが、ワンマンとなると約2時間をどう使うかを考えないといけない。たいていは途中に休憩を入れて2ステージやるパターンが多いが、即興演奏の、しかもデュオの2ステージ(各30~40分ずつ)は、結構きついものがある。曲を演奏するのであれば曲目を増やせばよいが、曲(レパートリー)を持たない者たちは、2ステージやる以上、セカンドステージはファーストステージと異なる演奏をしたい(しなければいけない)と考えるのは私だけだろうか? 特に自分はサックスはアルトしか吹かず、持ち替えをしない。藤田氏もブラシやマレットは使わず、普通のスティックのみで演奏する。なのでなおさらである。勿論、即興演奏なので同じ演奏はできないが、同じような演奏になってしまうなら2ステージやる意味がない。ただ時間を埋めているだけである。お客さんも飽きてしまう。かといって、セカンドステージにやろうとすることをあらかじめ残しておいて、ファーストステージではそれを出さないで演奏しよう、ということも自分にはできない。(だいたい前もってステージごとで出し物を分けておいて、そういうもくろみで演奏することが即興と言えるのか?ということである。)

ファーストステージとセカンドステージの曲の趣きに変化をもたせるために、例えば「じゃあセカンドステージはドラムソロから初めて、それからデュオになって、そのあとサックスソロをやって、最後二人でやって終わりましょうか?」などと打ち合わせをしたりすることもある。が、こういう打ち合わせも即興をやる上でいかがなものか?筋書きめいたものを決めておくのも姑息な感じがするので、自分はやりたくない。

この日、ファーストステージ32分、ほとんど二人は音を出しっぱなしだった。これだけやると、もうやることは出し尽くしてしまう。休憩の約20分間、インターミッションのDJ F×U×Kさんのかける音楽を聴きながら、我々二人はほとんど目を合わすことも会話することも無く過ごした。(そういえばファーストステージ前もこの日はほとんど会話しなかったなあ。)なので、セカンドステージをどういう風にやろうか?などという打ち合わせは一切無い。

それぞれが思惑をもってセカンドステージの演奏を始めたわけであるが、暗黙の了解で、お互いにファーストステージとは違う演奏をしようと意識していたせいもあってか、けっこう異なった曲想の即興ができたと思う。しかも、ファーストステージより長く36分間。決してだらだらした演奏ではなかったと自負する。そういう演奏ができたということは、このデュオはまだまだ発展していくものがあるということだな、という気がした。藤田氏も言っていたが、『無頼派二重奏』のCD制作は、我々デュオのひとつの集大成という感じをもっていて、この次に何がこのデュオにできるのかな?ということを漠然と考えていた。それだけに、即興に関して耳の肥えた某お客さんから、「今日のが一番良かった」と言われたことは励みとなった。

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