Review:哲太陽+Meg+柳川/ラビリロイ@Big Apple(神戸)

2018年12月2日(日)Big Apple(神戸市中央区)

◆哲太陽/el-b+Meg Mazaki/ds+ 柳川芳命/as

◆ラビリロイ<有本羅人/tp,b-cl+ルイリロイ/g>

神戸のビッグアップルに初めて行ったのは92年頃。出張に行った夜の自由行動のときに、どんなライブハウスか見てみようと店に入った。自分のソロのファーストCDを名刺代わりに店に置いてきた。次に行ったのは、99年の夏に国近正志/dsさんとのデュオツアー(ツアーと言っても、姫路の「ライラ」、「ビッグアップル」、大阪の「レッドライオン」の3か所だけ。)のときである。そして、今年の7月に向井千恵さん主宰の<Perspective Emotion>の参加で訪れた。20年ぶりで懐かしかった。マスターが覚えていてくれたのも嬉しいことだった。

神戸には<彗星ミトコンドリア>のベーシスト哲太陽さんが住んでいる。哲太陽さんとは、今年7月に「海月の詩」で開催された<時の隙間>のイベントで、哲太陽+Megのデュオに飛び入りして、なかなかの手ごたえ得たので、続編をじっくりやりたいと思っていた。哲太陽さんの地元のビッグアップルを押さえ、関西で対バンで出てもらえるユニットは無いかと考えた。ルイリロイさんがこの店でもよくやっている様子なのでお願いしたところ、<ラビリロイ>として出演を快諾してもらえた。という次第でこの演奏会が実現したのである。

哲太陽さんがたくさんのお客さんを呼んでくれたので、最初に有本羅人さん(初対面)とルイリロイさんのデュオ<ラビリロイ>に出演していただいた。ふたりそれぞれの「音のパレット」には何種類かの絵の具が用意されていて、適時に色を選び、並べ合い、重ね合いながら、音の断片の万華鏡、旋律のタペストリー、ノイジーなアマルガム・・・と、多彩なサウンドシーンを生み出した。東の<長谷川静男>、西の<ラビリロイ>は、注目すべき即興デュオチームである。

ラビリロイ

哲太陽さんのベースは、フットペダルを踏むと、ベースのブリッジあたりについているハンマーがベース弦を叩く仕組みになっている。4つのペダルと4本の弦を叩く4つのハンマーの動きが対応しており、それはピアノの構造に等しい。ハンマーで叩き出されるベースの音は、強く、重く、暗く響き、それがエフェクターによって様々な響きに変貌し、低音域を包み込む。そのオリジナリティーもさることながら、醸し出される音楽そのものが重厚で荘厳である。重厚さや暗さを体現する「剛」のMegさんのドラムとは相性がいいと思った。3人の演奏は35分程一曲を通して行ったのだが、開始5分程でタムのヘッドが破れたそうで、Megさんにとっては不本意な残り30分となったに違いない。またどこかでこの3人でやりたいものである。

2018-12-04

最後に25分程、合同セッションを行った。管2本、ギター、ベース、ドラムという編成なので、音の洪水の中でもそれぞれの音はくっきり浮き上がり、誰が何をしようとしているのはよく聴き取れた。常識的な演奏時間と体力消耗がなければ、いつまででも演奏は続いたに違いない。5人の音が途切れたときを見逃さず「ありがとうございました」と挨拶し、演奏を切り上げた。

BigAppleライブ告知ボード