Review:木全摩子+柳川芳命@GHOST V

2018年12月7日(金)Jazz GHOST V(岐阜市長住町)

2016年4月に初めてスタジオでデュオをやったときの録音、その年の8月末に「なんや」(名古屋御器所)でやったデュオの録音、それらと聴き比べてみると、今回のゴーストVでのデュオはずいぶん変容していることがわかる。その間、「ysm」(柳川・鷲見・摩子)で3年近く共演し、最近では渡辺敦(ts)氏との「天元」での共演を経ていることや、マツダカズヒコ(gt)氏とのデュオ「せーまん どーまん」での活動、野道幸次(ts)氏とのセッションなど、木全さんの共演の幅が広がったせいもあるだろう。

いっしょにスタジオでやり始めた頃の木全さんのドラムは、サックスの伴奏という感じで、終始向かい合って、格闘技のような直接的な反応で突撃していく感じだった。その勢いに押されてこちらも負けじと吹く、というデュオだった。が、今回の演奏では、適度な距離を置いて「自分の演奏」を展開しているという感じを受けた。そのことでお互いに息苦しさがなく、互いに自由になれるデュオになった気がする。それは共演者の演奏を聴いてないということではなく、反応の仕方が昔と変わってきたということだろうと思う。相手を好きなようにさせるという反応もあっていい。前半のステージは、27分のデュオと5分のデュオ、後半のステージも同じような時間配分で合計4曲。落語で言うなら長短2話ずつである。パワー一辺倒でやってきた頃は15分~20分で終わるデュオが、長短いずれでも組み立てられるようになったとも言える。

※写真はゴーストVの黒田オーナー(モノクロ)とお客さんで来てくれた藤井さん(カラー)、いつもありがとうございます。

2018-12-08