Review:ALTO SUMMIT/庄子勝治

2018年12月21日(金) なんや(名古屋・御器所)

庄子勝治、PUYO、柳川芳命 (alto saxophone)

なんやの店主PUYOさんとの共同企画で、アルトサックス奏者を招いてはアルトサックスだけで即興演奏を行う「ALTO SUMMIT」。これまでのゲストは、①アカノシバヒトさん、②小埜涼子さん、③川島誠さん、④赤木飛夫(日本天狗党)さん。

5回目のゲストの庄子勝治(from広島)さんは、93年に広島の「リアルジャズ集団」主宰の権田さんに招かれ、OTISに行ったときに初めて会った。以来、名古屋・栄のKUKUや今池祭りなどで顔を合わせ、しばらくご無沙汰だったが、名古屋・千種のカルヴァドスでの「地と図」シリーズで再会。彼の師匠の故・井上敬三さんから譲り受けたというシルバーのセルマー・マークⅥもずいぶん変色してきた。日本中の即興系のミュージシャンや舞踏家など、彼ほど幅広く共演してきた人はいないのではないかと思う。名前を挙げるとたいていの人と共演歴があるのには驚く。

この3人のアルト吹き、もう40年近くやってきた者同士なので、みな一筋縄ではいかぬ「つわもの奏者」である。あからさまに「合わせる(ほぼ同じようなことをやる)」なんてことはしない。「挑発し合う」などという子どもじみたこともしない。それぞれ我が道を行く演奏をするのだが、相手を無視しているわけではないことは一緒に演奏していてわかる。なぜわかるのか?と聞かれても言葉で答えようがないが、なんとなく・・・である。エンディングに関していえば、わりと合意がすんなりいく。たぶん吹き疲れてきているのが互いに感じ取れるからだろう。そのあたり無理をしないのも熟練者だからか・・・。

庄子さんのデュコフ(メタル)マウスピースから出る音はタイトで芯が太い。攻撃的な音である。それでいて情感にあふれていて人間味が伝わってくる。PUYOさんの音も硬質で強い音である。随所で発せられるフリークトーンはゾクゾクするような危険で怪しげな音で刺激的である。Around 60の3人だが、まだまだ枯れることなくしぶとくやり続けられそうだ。

次回のALTO SUMMITは、これまた円熟の異端アルト吹きKei-Kさんを京都から招いて、来年の1月27日に行います。勿論、場所はなんや。

ALTO SUMMIT 庄子さん