2019年1月12日(土)阿佐ヶ谷JAMB JAMB
出演:山沢輝人(ts/fl) <東京 柳川芳命(as) <名古屋 特別客演:川島誠(as)<埼玉
新年第1回目の演奏会は、上記3人のフリー即興のサックス・ソロ。 山沢さんとは97年頃に名古屋の(今は無くなった)KUKUで会って以来、大阪や東京で何回もそれぞれのソロを一緒にやってきた。川島誠さんとは2014年秋にカルヴァドスの「地と図」のシリーズで名古屋に来てもらってからなので、もう4年以上のつきあいになる。彼もサックスのソロ演奏を継続的に追究している。
三者三様のサックスソロは、それぞれの世界を描き出していた。サックスからどんなサウンドが引き出せるか、という課題は、3人ともずっと抱えてきている。古今東西のサックス奏者が創り出してきた音にも一応敬意を払うが、もっと新しい魅力的なサックスの音や演奏があるはずだ、という確信をもって模索を繰り返している。そういう点では3人とも同じである。
川島さん、山沢さん、自分、と世代的には段階的であるが、やはりその年代の即興演奏というものがあると思う。20代末で逝去したサックス奏者が、もし今も生きていて、20代のときと同じような演奏をしていたとしたら、それは嘘だろう。自分の築き上げた「芸」を披露しているに過ぎない。即興演奏はそういう「芸」ではなく、その人の今の生活とか考えていることとかが演奏に如実に出るものだと思う。そういう意味で、川島さんの「今」、山沢さんの「今」、柳川の「今」がはっきり浮き出たソロだったのではないかと思う。それは比較したり優劣をつけたりするレベルのものではない。
奇異なことやって注目を惹こう、というよりも、毎回こういう風にしか吹けないけれどこれが自分の偽りのない演奏なのだ。というアイデンティティーをもっていたいものだ。