Review: 藤田亮+柳川芳命@難波屋仮店舗

2019年2月7日(木) 難波屋(大阪 西成)仮店舗

難波屋にはこれで5回目の出演になるが、現在、難波屋のビル全体が改築中という事で、この日は少し離れた仮店舗で演奏した。スペース的には適度な広さで、入り口のガラス戸の向こうには商店街を往来する人の姿が見え、開放的な面もある。ドラムとサックスのデュオでは多少なりとも音量をセーブする必要があった。おりしも前日に、8年前の1月に亡くなったサックス奏者の鶴田哲也さんのことを思い出し、彼が遺したソプラノサックスを家で吹いているうちに、興にのってきてソプラノ1本で臨んでみたくなった。アルトに比べれば音量は押さえられる。藤田さんとのデュオでソプラノを使うのは初めてで、楽器が変わればまた違ったデュオの局面が生まれるのでないかという期待感もあった。

藤田さんもドラムのヘッド等にタオルをかけ、ミュートした打音で、あえてダイナミックさを押さえてのドラミングだったので、全体的な印象は盆栽をいじるようなこじんまりした感はあったと思う。しかし、いつもいつも、決め技を繰り出すかのようにパワー全開で爆発してクライマックスを演出するのも予定調和的でいかがなものか、と思っていたので、音量的に制約を課したことで、これまでとは違った演奏になったのではないかと思う。シンプルで気負いがなく自然体での即興になったかと思うが、決してやっていることが散漫にならず集中度は高かったと思う。

過剰なデコレートのない裸形の音、余分なものは一切無いが音の意思が確固として在る、そんな演奏をしてみたいと思っているのだが・・・。この日のデュオはそれに少し近づけたかなと思う。しかし、自分の演奏に関しては、まだまだ引き算が出来そうな気がしていて、それはこれからの課題である。そういうことがなかなかできないのは、これまで蓄えてきたサックス演奏の「やり方」をなかなか捨てられない自分があるからだろう。積み上げてきた技法を捨て、シンプルな画風に徹していく画家は大したものだな、と感心する。

写真提供:喜納さん、いつも大阪ではお世話になってます。鎖骨骨折お大事に。

プレゼンテーション1

koikeさんの

これはKoikeさんの撮影。最後の〆のシンバル一発。お見事でした!