Review:UPDATE(近況報告)@酒游舘

2019年3月2日(土)(近江八幡)サケデリックスペース酒游舘

出演:藤田亮(ds) 坂野嘉彦(p/cl/鍵盤ハーモニカ) 山田聡(quena) マナカ・キジマ(dance) 柳川芳命(sax)

藤田亮、坂野嘉彦、山田聡、柳川芳命の4人は、さかのぼること約4年前の2015年3月30日に今池バレンタインドライブで初共演した。このときは十七弦箏の樽本里美さんも一緒だった。藤田さんにとって即興ドラマーとして初の名古屋ライブであった。

坂野・山田・樽本・柳川の4人は、2012年からEast Seedという即興ユニットで名古屋・千種にあったカルヴァドスですでに何回か演奏を重ねていた。大阪から初めて藤田さんを名古屋に迎えて共演するにあたって、ドラムレスのEast Seedと藤田さんの組み合わせが面白いのではないか、と思いセットした。この<East Seed+藤田亮>という編成は、2015年7月にも今池のバレンタインドライブでライブを行っている。

以後3年半ほど、このメンバーでのライブは途絶えていた。この日は久しぶりの再会セッション、あるいは近況報告セッションということで、坂野、山田、藤田、柳川の4人が集まった。ダンスのマナカ・キジマさん(from奈良)は、山田聡さんとコンビを組んでときどき活動しており、私もかつて共演させてもらったことがあったので、この際マナカさんにもメンバーに入ってもらおうと思った。

当日、ファーストステージは、坂野+藤田+柳川のトリオ、山田+マナカのデュオを行い、セカンドステージは5人全員で行うことにした。

坂野+藤田+柳川のトリオでは、ピアノ奏者としての坂野さんの真骨頂が発揮された気がする。はじめてグランドピアノで演奏する坂野さんと共演できたせいもある。藤田+柳川の「無頼派二重奏」がモノクロームの演奏とするなら、坂野さんが加わったトリオは総天然色の演奏になったようだ。坂野さんはそもそも現代音楽の作曲をメインに活動されており、豊富な音楽のバックボーンがある。ジュークボックスのように古今東西の様々な音楽を内包しているので、そこから自由奔放に引き出して即興の糧にする。展開が行き詰ったときには大胆に突破口を開く。藤田さんのドラムと坂野さんのピアノのリズムの絡み合いはとてもスリリングでスピード感があり、予想を超えた面白さの約30分の演奏になった。

山田聡さんとマナカ・キジマさんのデュオは、すでに数回観ているが、いつも目が釘付けになり、観る者の集中が途切れない。マナカさんの全身の動きはしなやかで流動的である。かなりの修練を積ん上での身のこなしなのだろう。シンプルで飾り気のないケーナのフレーズや音色と二人の絡み合いにはストーリー性を感じた。

セカンドステージは約50分。それぞれ出たり入ったりしながら、いろいろなシーンを描く即興となった。久々に集まって行った即興演奏には、その間各自が取り組んで磨いてきた表現の足跡が感じられた。

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