◆2019年3月28日(木)なんや(名古屋・御器所)
ゲスト:石渡岬(tp) 柳川芳命(as) セッション参加:PUYO(as)
◆2019年3月29日(金)jazz GHOST V(岐阜・長住町)
ゲスト:木全摩子(ds) 柳川芳命(as) セッション参加:渡辺敦(ts) 近藤久峰(ds)
立花さんの9日間に亘るソロ&セッション・ツアーの終盤8日目(なんや)と最終日9日目(ゴーストV)に、ゲストで共演。実は以前から、石渡岬さんには立花さんと私との共演のコーディネートを試みてもらっていたのだが、あいにく都合が合わず、ずっと見送りの状態だった。それが今回ようやく共演できる機会を得たのである。
立花さんは言わずと知れた「渋さ知らズオーケストラ」のメインリード奏者で活躍。すでにこのグループでの在籍は17年になるという。悟空さんとの「人間凶器」での活躍など、アルト奏者として注目の存在である。今回のツアーは立花さんのソロと各地の奏者とのセッションという形で行われたわけだが、9日間連続してアルトサックスソロを持続させることを考えるだけでも、彼の精神的な持久力が凄いと思う。1本のアルトサックスから引き出せる限りの音を様々な奏法を駆使して絞り出していくパフォーマンスは圧巻である。通常の吹き方の枠を超えての奏法は、フリー系の奏者ならいろいろな試みをしてきたと思う。しかしながら、立花さんにあっては、そういったフリークトーンにも聴き手を魅了するだけのものをもたせ、驚きと痛快感を与えるレベルにまで極めている。
なんやとゴーストVの2夜ともに、立花さんのソロ、ゲストのソロ、立花さんとゲストのトリオ、参加者とのインプロ・ジャム、というステージングで展開した。自分もアルトソロでやらせてもらえたことはいい機会だった。このところソロをやることが少なくなり、今年から積極的にソロをやりたいと思っていたところなので・・・。同じアルトサックスでのソロということで、初日のなんやでは立花さんの演奏を意識した感があって、結果として良かった点も良くなかった点もあった(自己評価)。2日目のゴーストは、立花さんのソロ、木全さんのドラムソロのあとでの出番だったので、その流れを受けての吹奏を意識した。それに「フリーであらねばならない」「アバンギャルドであらねばならない」「完全即興であらねばならない」という、「ねばならない意識」を払拭して吹奏することにした。
さて、なんやでのもう一人のゲスト、石渡岬さんのトランペットは、抒情的な部分と、アクセルを踏み込んでボルテージがピークに達したときの炸裂的な部分との振幅が魅力である。この日のここぞという瞬間で見せる炸裂の凄味が快感だった。
ゴーストVでのゲスト、木全摩子さんのドラムソロは、ストーリー性を感じる展開が面白かった。乾いた情景が目に浮かぶドラム演奏だった。初共演する立花さんと、日頃共演が多い私とのツイン・アルトにどう絡むかはチャレンジだったと思う。しかし、終始真摯に向き合って叩いていたという好印象を受けた。