Review : Invisible Colors#5@Valentinedrive

2019年5月1日(水)バレンタインドライブ(名古屋今池)

・哲太陽(el-b)    Kaoru(舞) 武藤宏之(electronics)   柳川芳命(alto-sax)

このシリーズ”Invisible Colors”は、ドラマーのMeg Mazakiさんが2年ほど前からシリーズ化している企画である。今回は5回目になるがメンバーはその都度変わる。今回お招きした哲太陽さんとは昨年末に神戸の「Big  Apple」で共演、武藤宏之さんとはこの2月に「なんや」で共演。それぞれ手ごたえのある演奏ができたことで、今回のメンバーにふたりが抜擢された。kaoruさんとは「海月の詩」を通じて懇意になり、かねてから一緒にやりたかったダンサーである。

しかしながら、3月中旬に発症した椎間板ヘルニアの治療と養生のため、本企画の主宰であるMegさんは今回欠場。Megさんにとっても他のメンバーにとっても大変残念なことである。メンバーが決まった時点で期待感が高かっただけに、落胆の大きさはなおさらである。

最初のセットは、Kaoruさんの舞で始まり、残る3人が随時加わって、約30分間、フルに4人でやり続ける。休憩をはさんで後半は、初顔合わせのメンバーであるので、いろいろな組み合わせのデュオをメドレー形式につなげ、最後は4人全員でやる、という筋書きでやってみた。

暗黒の世界の荘厳で重厚な啓示、スペーシーな神秘性や幽玄性、・・・言葉では語りえない妖気が立ちこめ、緊張と弛緩が会場の空気を支配していたな。このある種ホラー的な畏敬の音響は「怪談と即興音楽」での内省的な危機感とは違って、まるで怪獣映画を観るようなフィジカルな危機感に満ちていた。哲太陽さんの骨太でアタックの強いベース音はどこまでも暗く重い。無限にあるサウンドパレットから厳選して絞り出された武藤さんの電子ノイズと絡み合って危険で妖艶な世界をつくていた。Kaoruさんの舞はダイナミックな躍動感が見事だった。その視覚的な刺激が演奏行為を突き動かしていたことは言うまでもない。

もしここでMegさんのドラムが加わっていれば、おそらく音の飽和状態になり、演ずる者は只々本能の赴くままに音を放ち、身体を舞い続けさせるだろう。Megさん復帰後に改めて5人のメンバーでやってみたいものである。

Invisible Colors after Live