2019年5月29日(水) 海月の詩(名古屋 今池)
藤田亮(ds) +柳川芳命(as)
思い起こすと、藤田さんとは、名古屋ではバレンタインドライブ、なんや、KDハポン、京都ではザックバラン、大阪では難波屋、コモンカフェ、ムジカジャポニカ、滋賀では酒游舘、と、結構いろいろ場数を踏んできた。今回の海月の詩は、店に常設のドラムセットが入ったこともあり、かねてから是非やってみたいと思って選んだ。ここでは音量の面で抑制する必要がなく、PAを用いないで生音でサックスが吹け、フルセットのドラムが使えるという点で条件が良い。店主の浅井さんにも聴いてもらいたい気持ちもあった。
昨年、CD『無頼派二重奏』をリリースする頃から、藤田さんとはもっぱらデュオでの共演が続いている。このデュオに関して言えば、デコレーションなしのプレーンの精神状態で、奇をてらうことなく中から湧き出てくる音をストレートに、エンターテイメントとかをあまり意識せず粛々と愚直にやっていきたいと思っている。私個人的には・・・。
さて、自分ではなかなか出来ていないのであるが、野放図に音を撒き散らさず、「ためる」「じらす」「言いかけて口ごもる」というような演奏ができるようになりたいと思う。自分には、次へ次へと先走りして吹いてしまうところがあったり、息が余っていると勢いで蛇足の音を出してしまうところがあったりするので、そのことへ戒めである。
今回のデュオで、その心がけが少しは成果があった気がする。それは藤田さんと一緒にやっているときは、「反応(コール&レスポンス)をしなくては」とか、「演奏の流れが澱まないようにしなくては」とか、「展開に変化を持たせなくては」などという余計なことを意識しなくても音楽を創っていける安心感があるからであろう。自分のことに専念して演奏しても大丈夫という思いがある。しかし決して安易にやっているわけではない。藤田さんのドラムには、白刃のごとく突き刺さってくる瞬間があったり、流れを突如止める瞬間があったりするので、やっていて緊張感は高い。