2019年6月23日(日)サケデリックスペース酒游舘(滋賀 近江八幡)
演目:むじな~牡丹灯籠
語り:平松千恵子 音:柳川芳命(as,harmonica) Meg Mazaki(ds/percussion/naration)
2018年の夏と冬に続き、今年の夏は演目を新たに、近江八幡、名古屋、岐阜、大津で『怪談と即興音楽』のシリーズを4公演行う。
演目が変わると即興音楽のほうはどう変わるか。このあたりをよく考えないといけない。昨年夏の小泉八雲の3作、冬の「四谷怪談」、今年の「むじな」と「牡丹灯籠」。それぞれの作品の特質をしっかりとらえ、それが演奏に反映しているようにしたいものである。また、単なる効果音にならないよう、音で人物描写や情景描写ができるように・・・。
「むじな」は狸の悪戯の話である。因果関係や怨念、呪いとは無縁である。「牡丹灯籠」の萩原新三郎は「四谷怪談」の民谷伊右衛門とは違う。優しすぎる純情なフェミニストである。「牡丹灯籠」のお露の健気さは、最後に新三郎を冥界に引きずり込んでしまうが、一途な思いを遂げたいがゆえの愛欲に従った行いである。「四谷怪談」のような血なまぐささはなく、切なさやメランコリーに心を打たれる美しい話である。
さて、初日の酒游舘は、音響の面でも、照明の面でも、会場の雰囲気の面でも、たいへん恵まれた環境で行うことができた。台本をもとにした打ち合わせだけでリハーサルもしていない中で、初公演にしてはうまくいったと思う。3人の阿吽の呼吸は、昨年5回の経験のたまものだったと思う。Megさんに関して言えば、1月にリリースしたCD『四谷怪談』のレコーディングがパーカッションのアプローチに生かされていたと思う。
自分に関して言うと、前述したように作品の色合いが、もう少し際だって吹奏に反映されていると良かったと思った。さらに作品の研究をして次回に臨みたい。次回は7月3日(水)TOKUZO(名古屋今池)で。