Review:鷲見雅生+Meg+柳川@GHOST V

2019年6月29日(土)Jazz GHOST V(岐阜市 長住町)

・鷲見雅生(el-b)   ・ Meg Mazaki(ds)   ・柳川芳命(as)

<柳川+Megデュオ>のシリーズは、音楽的な志向(嗜好)の変化に合わせて名称を変更させている。「Hyper Fuetaico」 →「 Heal Roughly」 →「 After I’ts Gone」という変遷をしているのだが、「After I’ts Gone」は、『止んで聴こえるもの、消えて見えるもの、去って残るもの』という心象的な音を紡ぎたいという思いもあってつけたシリーズ名である。また約3か月の椎間板ヘルニア療養から復帰したMeg さんのドラム演奏の変化ということもあって、変えるのにはこのタイミングがふさわしいと思った。すでにMegさんが復帰してから、大津TIOでの即興セッションや、怪談と即興音楽の「むじな~牡丹灯籠」でデュオは再開している。今回のトリオの企画は、休養以前から鷲見さんを交えたトリオをやりたいと考えていたものなので、この日の演奏は「Heal Roughly」の頃と大きな違いは無かったかもしれない。

鷲見さんもMegさんも、「音に念を込めて演奏をする」「ゆるくやるということはしない」という共通点があると自分では勝手に思っている。血の通った人間の奏でる即興演奏、コンセプトやテクニックよりも音を出すことへのモチベーションに全身全霊を傾ける「浪漫派」のプレイヤーかな?自分もそういう傾向が多分にあるので演奏志向は似ていると思う。

Megさんはかなり回復してきたようで、ゴーストV 常設のSONORのドラムや、サスティーンの長いよく響くシンバル(メーカーはよく知らない)が、かなりしばかれ、嬉しそうに悲鳴をあげていた。ハードでヘビーな鷲見さんのベースと共演することもあって、力いっぱい叩くことに快感を覚えながら演奏していたようだ。

鷲見さんとは、2016年にドラマ―の木全摩子さんと組んだ「ysm」以来、何度も共演を重ねているが、近年いろいろな名古屋の即興奏者や、東京のMaresukeさんや組原正さんとかの大御所との共演経験から、自身の演奏をうまく制御して多様な語り口でアプローチしているな、と感じる場面が随所にあった。また違ったフォーマットでの共演を重ねていきたい。

プレゼンテーション1