2019年7月3日(水) 名古屋 今池TOKUZO
・平松千恵子(語り) MegMazaki(ds/percussion) 柳川芳命(alto-sax /ocarina)
・演目:「貉(むじな)」「牡丹灯籠」
今年の夏の<怪談+即興音楽シリーズ『闇』>の第2回目は、名古屋のTOKUZOで開催。平松さんのホームである名古屋での公演だけに、50名を超える来場者で盛況だった。前回6月23日の酒游舘での初演を踏まえての公演だったので、いろいろ見直しをしたり良かった点を踏襲したりして、まとまりと安定感のある出来だったと思う。
個人的には酒游舘で使ったハーモニカをやめ、オカリナを使ってみた。このオカリナは、もう30年ほど前に関わった不登校の男子中学生にギターを教えたお礼にプレゼントしてもらったものである。きっとお遣いをためて買える範囲のものだったと思ったので、ずっと大事に保管してきたが、これまで使う機会はなかった。ちょっと前に家で試しに吹いてみたら、家中の猫sがその音にフリーズし、押し入れなどに逃げ隠れる魔性の音が鳴り響いた。ちなみにうちの猫sはサックスの音には屁の河童で寝ている。これは面白いと吹いているうちに、能管のような和的な音色が出せることがわかり、今回のTOKUZOで使ってみることにした。これから起こるであろう不吉な場面の予兆に良い効果が出せたと思う。
さて、昨年夏の小泉八雲の怪談、昨年冬の「四谷怪談と忠臣蔵」、そして今回のシリーズと、この3人でかなり回数を重ねてきたこともあって表現に「手慣れてきた」感がある。それは、無駄がなく、外れも少なく、精選された演奏ができるようになったという点で成果と言える。同時に、パターンが出来上がって、それをなぞっているのではないか?という反省も自分にはある。たとえば、恐怖の場面の演奏はもっと違ったアプローチ(曲想)で演奏するほうが効果的ではないか? 押し殺した恐怖というものもあるにちがいないし、それを表す演奏もあることだろう。いつもいつも叫び声をあげるというものでもなかろう。などと多面的に曲想を見直すことも必要かなと思う。
いろいろ振り返って、シリーズ後半の岐阜GHOST V(7月27日)、大津TIO(8月17日)に臨むことにする。4公演すべて違った演奏になることと思う。即興音楽なのだから。