Review:Solo&Free form session@Scivias

2019年7月12日(金)特殊音楽バー「Scivias(スキヴィアス)」(名古屋 納屋橋)

・柳川芳命 アルトサックスソロ

・フリーフォームセッション

①佐藤シゲル(b)+柳川  ②小林雅典(g)+柳川  ③アカノシバヒト(as)+柳川

④佐藤シゲル+小林雅典+アカノシバヒト (後半柳川参加)

今回はソロのあと、上記3名(なんと全て三重県の皆さん)とのセッションを行った。

ソロに関して言えば、途中で自分が何をやっているのか方向が分からなくなり、演奏にのめり込めず散漫に終わった。オートマチックに音はつながって出るのだが、自分の演奏が吹き始めからどういう軌跡を辿って、次にどういう方向に向かおうとしているのかとらえきれていない感じ。考えるより先に音が出てしまっているのだが、それは指癖によるものか? あるいは自分好みの展開パターンをなぞっているだけか? なかなか落とし前がつけられず、苦渋を抱えながら約33分間吹く。しかし、意識的、理性的にコントロールされた即興がいいとは限らない、とも思う。

「画家がいい仕事をしているのは、自分が何をしているか、もうわからなくなってしまった時だ。」とエドガー・ドガが言ったそうな。ならば自分も、この時いい吹奏をしていたのかもしれぬなあ・・・。

この日セッションに来てくれた3人は、旧知の三重県の精鋭インプロヴァイザーばかりで、共演歴は長い。約10分~15分程度だが、しっかりとお一人お一人デュオでお付き合いいただいた。いろいろなアイデアが共演者の音から湧いてきて、ソロのときの苦渋とは打って変わって、とても楽しい演奏になった。

佐藤さんとのデュオでは、アンビエントでスペーシーな幽玄の世界を映し出せた気がする。その均衡を破るタイミングも共鳴し合っていた。小林さんとのデュオは、超高速で音の断片を放射しあうその疾走感がたまらなく快感であった。同じアルトサックス同士のアカノさんとのデュオでは、いろんな話題をそれぞれが提示しながら語り合えたような共演だった。サックスからいろいろなソノリティを引き出しながらドラマチックな風景が描けた。

この日は、ソロ33分間と、デュオ3セット(各12分程度)、合計すると結構長時間吹いたが疲労感は無かった。デュオ3セットの後、来てくれた3人にトリオで演奏を始めてもらい、自分は途中から参加。すべてのセッションが終わって、何か部活の練習が終わった時のような爽快な気分になった。ソロの出来は今ひとつ手ごたえが無かったが、3つのデュオが気持ちよかったので、この日は「〇」にしておこう。

<写真は、左からアカノさん、佐藤さん、小林さん。この日の撮影ではありません。>

プレゼンテーション1