2019年7月19日(金) なんや(名古屋 御器所)
PUYO(as) 小埜涼子(as) 近藤久峰(ds) 柳川芳命(as)
なんやの店主PUYOさんの企画による上記4人の即興セッション。この4人が揃うのは初めてだが、近藤久峰さんとは97年頃に栄のKUKUで出会って共演を始めている。当時彼は20代。小埜涼子さんとは、00年頃から同じく栄のKUKUで対バン(学生実験室)で会っていて、以後たまにであるが共演してきた。二人とも20世紀末にKUKUが縁で出会っている。PUYOさんとは実はもっと古く、82年ごろから真野一彦さん主宰の「人力音楽普及協会」で会っていて、その頃にセッションをしたと思う。要するにこのメンバーは、名古屋インプロ界黎明期からの馴染みである。今はそれぞれが自分の音楽を追求して活躍しているので、あまり一緒にやることはなくなったが、PUYOさんの呼びかけで集まった今回のセッションは、自分には同窓会的な気分で、それぞれの現況報告をするような感じだった。
近藤さんにしても小埜さんにしても、出会った頃は20代で、センス豊かな新進気鋭の奏者だった。自分と大きく違うのは、演奏技術の習得に対して、二人ともすごく努力家であるということだ。小埜さんは単なるサックス・フルート奏者というだけでなく、音楽クリエーターとしての才能も素晴らしい。近藤さんには60年代からのフリージャズに関する情報が膨大にインプットされていて、なぜこの若者がここまでフリージャズのことをよく知っているのかと出会った頃驚いたものだ。ドラマーとしての技術も昔から卓越していて、探求心が凄いと思って見ていた。PUYOさんは最近とみにライブ活動が盛んで、その修行からサックス奏法の飛躍が著しい。この日も3人のアルト奏者が揃ったわけだが、エッジの立ったアグレッシブなサウンドが抜きん出ていた。
さて、自分は?と言えば、サックスは我流で始め、アカデミックな教育とは無縁。サックスの扱いにしても人から習うこともせず、教則本も見ることなくやってきた。決して「練習の虫」などではない。即興について考えることはずっとしてきたが、楽器の技術面での訓練はこの3人には及ばない。かといってへたうま路線でもなく、中途半端であるなあ、と思う。
ファーストセットの前半あたりまでは、3サックス・1ドラムという4人編成で、混沌として全体像がつかめない感はあったが、やっていくうちにアンサンブルの役割分担のようなものが自然発生的に生まれてきて、4つの音が整然としてきたように思う。誰かが指示をして音の交通整理をしなくとも、立体感のある集団即興ができるのは、やはりそれぞれがこれまでに身に着けてきたセンスなんだろうなと思う。
PUYOさんがフェイスブックにコメントをアップしているので、拝借して掲載させてもらうことにする。写真はG子さんが撮ってくれたものかな。
*****************************
前半は、全員で、4曲。後半は、ドラムとサックスのDUO3組、サックスTRIO、全員、といった構成。私は、前半はエンジンのかかりがイマイチだった。なんか気になることがあると、気持ちが高められない。入り込み方だけが勝負の音楽なので、致命的でもある。客観的に聞いた場合、その方がいいことも、ないとは言い切れないけど。後半は、その分までおもしろかった。それぞれの個性がおもしろかったし、サックス3本はやはりおもしろいし、そうした後での4人の演奏はうまくいったと思う。4人以上のフリーインプロは結構難しいと改めて実感。
*****************************