Review:マツダカズヒコ+木全摩子+柳川@Valentinedrive

2019年7月24日(水) 名古屋今池バレンタインドライブ

・蠍座二人組(木全摩子ds+柳川芳命as)

・せーまんどーまん(マツダカズヒコg+木全摩子ds)

・Pine-Willow(マツダカズヒコg+柳川芳命as)

上記3組のデュオでの演奏と、全員によるトリオの演奏の2本立て。比較的対バンとの組み合わせで行うバレンタインドライブでのライブだが、この日は3人でじっくりと腰を据えて演奏させていただいた。前半のステージは3組のデュオ各15分弱、後半は3人で30分弱の1曲。

マツダさんは93年に結成した「サマーディ」のメンバーなので共演歴は長い。摩子さんとも初めてスタジオでセッションをしたのが2016年の春だったので、もう3年以上になる。マツダさんと摩子さんの「せーまんどーまん」(自分は未だにこの意味を知らずにいる。どんな意味があるのだろうか?)は、岐阜に「是巨人」が来たときに、対バンで出演したのが最初だったと記憶している。まだごく数回しかライブは行っていない。しかし、ライブ録音盤がCD-Rで限定枚数でリリースされているところを見ると、最初の共演で手ごたえをつかんだに違いない。それぞれが気心知れた者同士のデュオであるため、3人での演奏も自然な成り行きで一体感をもってできた。

3組のどのデュオもこわばりがなく自在な即興だったと思う。演奏に臨む態度に余裕があるからではないかと思う。それは、自分がどういう演奏をしても(今までにない新たな試みをしても)共演者は受け入れて対応しくれるだろう、という信頼感というか安心感から生まれる余裕なのだと思う。リラックスしているとき、人間は最大の力を発揮でき、思いもよらぬアイデアが沸いてくるものだ、というのが納得できた演奏だった。余裕とかリラックスとか言うと、テンションが低く、まったりしているような受け止め方をされるかもしれないが、決してそうではない。抵抗しブレーキをかけてくるものが無い中での高揚感は、しなやかで伸びやかである。また、気心知れた間柄ではあるが、馴れ合いではなく、それぞれが凶器を隠し持ったレスラーのようなところがあるので、油断や隙は見せられないスリルはある。

自分の演奏に集中できる環境での即興ほど充実感が得られるものはない。自分の演奏に集中できない要素とは何だろうか?会場の問題、音響の問題、聴衆の問題、自身の心身の状態の問題、共演者との関係性の問題・・・こういったものに揺るぐことなく、自分の瞬時、瞬時の演奏に没頭できるしたたかさが備われば良いなあ、と思う。ただし、自信過剰の傲慢な演奏や自分一人で悦に興じている表現との共演は遠慮したいが・・・。

trio