2019年8月10日(土)大阪 難波ベアーズ <abstract music meeting 0810>
◍瑕疵(マツシタカズオ(as/ss)+鳴瀧朋宏(b)+衣笠智英(ds))+登敬三(bs)
◍柳川芳命(as)+豊永亮(gt)
◍okahashi nobuhiro(NANIWA AMBIENT)+天晴輝一(尺八他)
◍宮本隆(b)+仁井大志(gt)+松尾哲治(ds)
大阪のマツシタカズオさん企画のシリーズ「Abstract Music Meeting」の3回目に、オファーをいただき参加させていただいた。これまでの2回の出演者はフライヤー参照のこと。
この出演者の中で、共演経験があるのは、宮本隆さんと登敬三さんだけ。共演経験はないが、対バンなどでお会いしたことがあるのは天晴輝一(尺八)だけ。あとの方は初対面だった。大阪(関西)にはまだまだ、未知の先鋭的なプレイヤーが潜んでいるな。
初共演した豊永亮さんについては、自分はてっきり初対面だと思っていたのだが、97年に名古屋本郷にあった「聖家族」という店で対バンでお会いしていたことを豊永さんご本人から指摘された。自分の過去帳を見ると、確かに97年6月21日にディスロケーションで「聖家族」に出演していたことがわかった。そこには対バンメンバーまでメモしてなかったのだが、ランプというユニットで豊永さんは出演されていたのだった。
我々、豊永+柳川デュオはこの日、トリを務めさせていただいのだが、<瑕疵+登敬三>、<okahashi nobuhiro+天晴輝一>、<宮本隆+仁井大志+松尾哲治>の3つのユニットもそれぞれ素晴らしく、密度の高い演奏でミュージシャン個々の力量も惹きこまれるものがあった。それだけに、4つ目に登場する初共演の全即興デュオに、どれだけオーディエンスが興味をもって集中して聴いてくれるかどうかが不安だったのは事実である。
出番前に、豊永さんと話したのは、持ち時間30分をいただいているが、30分通しての全即興は(これだけ濃密な演奏を3つ聴いてきた人たちには)つらいかもしれない。無理して30分フルに引き延ばして演奏するのではなく、途切れたらそこで一曲終わって、二曲目を始めよう。ということだった。豊永さんも、そうですね、例えば20分ほどやって、あと2曲目を5分程度で終わってもいいですね、という意見だった。
実際始めて見たら、これとは逆で、演奏を始めて5分で演奏が切れた。なので、そこで一区切りをつけて2曲目を始めた。それが20数分になっって、トータルは28分ほどのステージになった。まだまだ演奏は続けられそうな気分だった。どんどん話題が発展し、会話が終わらないような状態だった。が、冗長な即興は聴く人を退屈させるので、ここで潮時と割り切って終了した。
豊永さんは、共演者の音を非常に敏感にキャッチしながらも、決してそれに迎合するような演奏はしない。自分の意志を貫く強さを感じた。そして、一つの演奏のムードに安住せず、絶えずプローチを変形させて迫ってくる。そのスピード感は共演していて心地よかった。一瞬たりとも油断できないという感じの28分間だった。かなり濃縮されていて、いろいろなサウンドシーンが詰まった演奏になったと思う。
豊永さんは京都在住ということで、これまで接点がなかったのが不思議なぐらいだった。まだまだ自分の知らないところで、独自の音楽を創り上げている人たちが潜んでいる。今後も共演が続けられたらと願う。豊永さんに限らずこの日出演された若いミュージシャンも素晴らしいセンスを持っていて、いろいろな発見ができた。また何かの機会に共演ができればと思っている。主宰のマツシタさんや、私と豊永さんを繋いでくれた宮本さんにに感謝したい。