2019年8月17日(土)滋賀・大津 Baar Musica TIO
語り:平松千恵子
即興囃子:柳川芳命 (alto-sax, ocarina, harmonica)
Meg Mazaki (ds,percussion, 英語ナレーション)
演目:「貉(むじな)」<小泉八雲> 「牡丹灯籠」<三遊亭円朝>
今年の夏の「怪談と即興音楽」最後の公演を、大津のBaar Musica TIOで行った。本体なら4回公演のうちの第3回目を岐阜のゴーストVで7月27日(土)に行う予定だったが、残念ながら台風接近により中止した。そのため、第2回目のTOKUZOでの公演から約1か月半ぶりになる。シナリオを読み返さないと忘れてしまっていることも多かったが、改めて新鮮な気持ちで臨むことができた。
1回目を酒游舘、2回目をTOKUZOで行ったのだが、どちらも広い会場で、客席までの距離が比較的長いのに対し、TIOでは至近距離(ちょうど学校の理科室の教壇と生徒席ぐらいの配置と距離)で、お客さんとの一体感が得やすい空間であった。TIOにはグランドピアノ、ドラムセット、各種アンプ、PA、モニタースピーカーなど、年季の入った機材が常設されているだけでなく、スポットの照明の色の変化をつけることもでき、結構本格的な舞台設営ができた。その場の打ち合わせで、急遽マスターに照明などの操作をしてもらえて、良い雰囲気で最終回を創り上げることができた。
今回、自分の気持ちの中では、威圧するような押しつけがましい演奏はやめ、できるだけ肩の力を抜いて、繊細な音の気配を大事にしようと思った。シナリオでは、音を入れる場面は「貉」と「牡丹灯籠」を合わせて全19箇所(勿論、即興なので、その場で思いついて音を入れることもあったが・・・)。そのうち、メインのアルトサックスで演奏する部分を精選して、オカリナやハーモニカで演奏する箇所を増やしてみた。オカリナが不穏で不気味な雰囲気を醸し出せ、ハーモニカがアンニュイで諦観な雰囲気を出せて、自分としては面白かった。Megさんもパーカッションやいろいろな音具、下駄など、メインのドラムセット以外のものを効果的に使ったので、変化に富んだ即興囃子になった気がする。
平松さんとの一連の共演を通して、間や抑揚、声色の変化など、楽器の表現方法に生かせるものをたくさん学べた気がする。特にダイナミズムの幅、ppからffまでの幅、喜怒哀楽といった情緒の表現の幅・・・などは、これからの即興演奏にも生かしていけそうだ。
さて、この「怪談と即興音楽」の今年の夏のシリーズは、これで終了したわけだが、演目の「牡丹灯籠」は、映画でも取り上げられる有名な「お札はがし」の場面を中心に、平松さんが編集したものであった。しかし、三遊亭円朝の原作ではもっと長編にわたるものだったそうだ。そして、この噺には「仇討ち」というもう一つのテーマがあるということで、この12月にはその部分をテーマにした「語りと即興音楽」を公演する予定である。すでに、酒游舘、TOKUZO、TIOの3か所での公演は決定している。乞うご期待。