2019年9月5日(木)海月の詩(名古屋今池)
・MU(Take-Bow/gt+Meg Mazaki/ds)
・Dual Core Creatures(Take-Bow/gt+柳川芳命/as)
・浅井一男(electronics)<海月の詩マスター>
Take-BowさんとMeg MazakiさんのデュオMUのセカンドアルバム『TAPE SNAILE’S PACE』と、Take-Bowさんと柳川のデュオのファーストアルバム『密儀』のリリース記念の演奏会。海月の詩のマスターの浅井一男さんもエレクトロニクスで参加。
ジャケットデザインは、どちらも画才にも異能ぶりを発揮するTake-Bowさんのイラスト、コラージュである。この濃密さは彼の演奏にも通じていて、Take-Bowさんのギター演奏には、いろいろな要素が高濃度に圧縮されていて、一瞬たりとも無駄、隙が無い。MUにしてもMUにKei-K(as)さんが加わったMUK、Take-Bow+Kei-KのUKにしても、その演奏姿勢は一貫して変わらない。
『密儀』は、ギターとサックスの金網デスマッチのような、場外に逃れられない状況での至近距離での格闘でもあり、対談でもあり・・・・である。マスタリングも残響をほとんど入れず、狭い部屋で楽器のすぐそばで聴いているように仕上がっている。改めて、内容を紹介する。
自称京都の路地裏ギタリストTake-Bow(たけぼう)と柳川の即興デュオアルバム『密儀MITSUGI~Dual Core Creatures』。全4曲。2019年6月2日京都のスタジオSIOUX(ソクラテス)にて録音。『全知覚と思念を注ぎ込んだギターとサックスによる音の交感儀式。二人の反射神経は一体化し一瞬に閃く瓦礫の音を積み上げてはスクラップする。全即興による内観的世界』
この日の演奏においては、出演者の4人がいろいろな組み合わせで共演する形態をとったが、どれも、静と動、強と弱、遅と速・・・といったコントラストの強い、ダイナミズムの幅の大きな即興だったと思う。浅井さんとは音で共演するのは初めてだが、スペーシーな空間を描いたり、過激な電子ノイズを放出したりと、これもまたダイナミックであった。Take-Bowさん、Megさんとは、お互いがどんな演奏をしても受け入れられる関係にあるので、共演者の暴走、暴発にも真っこうから向き合って反逆したり、受け流したりする術を心得ている。この日のどのセットも、時間の制約が無ければ、いつまでも演奏し続けるような感じだった。
Megさんもかなり回復してハードなドラミングができる状態になって、ヒートアップ後の熱量放出の持続が長くなってきた。TakeBowさんもこれまで何回か名古屋に来て演奏した中で、いちばん本領が発揮できた演奏になったように思う。それも、このメンバーと海月の詩のもつ『ファールフリー(反則制御無し)』な雰囲気のせいか・・・。