Review:河合渉+Meg Mazaki+柳川芳命@なんや

2019年9月21日(土) 名古屋御器所『なんや』

・河合渉(g)    Meg Mazaki(ds)   柳川芳命(as)

河合さんはいつものように黒のいで立ちで演奏するだろうと思い、今日はあえて白を着てみた。(どうでもいいことだが・・・。)ついでにどうでもいいことを思い出したのだが、確か05年ぐらいに岐阜の「ニュートロン」で初めて河合さんとデュオをやったとき、彼はドラムを叩いたような記憶がある。間違っているかもしれない。15年近く前の話だし・・・。

今回は、柳川+Megのデュオシリーズ(第3ステージ”After It’s Gone”)に加わってもらう形で河合さんに共演を依頼した。河合+柳川デュオ、Meg+柳川デュオは、それぞれ結構な回数こなしてきたが、河合さんとMegさんは初共演であった。

どういう形態で演奏するかを、開演直前に相談したのだが、(個人的な意見として)このところ3人のラインナップで演奏するとき、<総当たりのデュオを3通りやって、最後にトリオ>というパターンが続いていて、何となくメインディッシュのトリオをやるために前菜でデュオを3通りやる、というような、デュオをやるのがノルマをこなすのに似た感覚になってきているので、この日は2ステージとも3人フル出場でやることにした。その中で自然発生的にデュオになったりソロになったりすればいい、ということで・・・。

結果、どんな感じの演奏になったか? なんやのマスターのPUYOさんは、こう書いてくれていた。

おもしろいライブだった。柳川さん、音が鮮烈で流れる水のようだった。Megさんは、押し引きが本当にうまくなった。急所をとらえている。河合さん、アコースティックギターでの演奏、おもしろかった。独特な音が出る。アルコを使ったのも良かった。抒情的でもあった。ノイズでもあった。(PUYO)

なるほど。予想どおり河合さんとMegさんの組み合わせは面白かった。河合さんがボウイングでエレアコギターの弦をこすってドローンのような演奏に入ったときのMegさんとのデュオには興奮をそそるものがあった。

お客さんで来てくれた詩人でギタリストの後藤博さんは、以下のようなリポートを書いてくれていた。

河合渉、柳川芳命の暗黒儀式的音世界を現に繫ぎ止めるかのようなMeg Mazakiのds.。セットが終わるとジョン・エヴァレット・ミレーのオフィーリアの如く横たわり河合渉、柳川芳命に吸い取られた精気を回復させるMeg Mazaki。(中略)セットが進み河合渉、柳川芳命の「音」はさらに暗黒の世界へ。Meg Mazaki、さらに争う。十数年前の一連の”地と図SESSION@カルヴァドス”の幻影を見た(聴いた)。(抜粋)

自分の演奏でも陰鬱な旋律がよく出てしまうのだが、河合さんの演奏は、<dark-side of the darkness>とでもいったような世界を醸し出す。セカンドセットでは、<河合+柳川>→<河合+Meg>→<3人>という流れから、徐々に高揚しピークに達していったのだが、そのピークがいつまでも続く。Megさん腰痛が再発しないか心配になったり、このところワンランク硬いリードを使っていてエネルギーの消耗が速かったりしたので、クールダウンにいざなおうと試みたが、3人の演奏は高揚状態がなおも続く。ようやく静まり返ってエンディングになったかと思いきや、ギターのアルペジオ(?)が透明感ある音色で鳴り響きだし、もうワンシーンが始まる。その演奏はそれまでの暗黒儀式音楽とはうって変わった天空から一筋の光が差し込み、明るい空の下での牧歌的?抒情的?な音楽になった。暗黒の世界から、救済された人々が平安に安堵している世界へ・・・。珍しいエンディングのパターンだったなあ。

71170363_212134446463412_3344386884733239296_o

70825311_2631032686954315_1124594674871304192_o