2019年9月26日(木) 京都 UrBANBUILD
まずは、企画者・出演者の紹介から。(UrBANGUILDのホームページ並びにフライヤー裏面に記載されたものを転用。
漆舘登洋 TAKAHIRO URUSHIDATE
1990年青森県奥入瀬生。本企画・主催、DJ
永井清治 SEIJI NAGAI
山下洋輔との共演で好評を得た後、集団即興音楽のパイオニア・グループ、タージ・マハル旅行団を小杉武久らと結成し、内外の多くの現代音楽、ジャズ、ロック音楽祭に出演。また永井のリーダーアルバム「電子即興雑音1999」についてジュリアン・コープは「過去に材をとった大半の音楽と異なり、スケール感と活力に溢れた、傑作アルバム」(JAPROCKSAMPLER) と述べている。
河合孝治 KOJI KAWAI
サウンドアーチスト&コンセプター。音を中心に様々なアート、身体表現、哲学、仏教などをクロッシングしながら、サンタフエ国際電子音楽祭、ISEA電子芸術国際会議、ブールジュ国際電子音楽祭(仏)、ETHデジタルアート週間(スイス)、チリ・サンディアゴ国際電子音楽祭、
ISCM世界音楽の日々2010(豪)、Opus medium project、東京創造芸術祭などでパフォーマンスや作品を発表している。
柳川芳命 HOMEI YANAGAWA
78年からフリーフォームの即興演奏をめざし我流でサックスを始める。フリージャズ、フリーインプロビゼーション、ノイズ等、時代の流れの中で様々なスタイルから影響を受けつつも、新奇なコンセプトや奏法を超えたシリアスでストレートでシンプルな独自の即興演奏にたどり着きたいと思っている。
トシオカジワラ TOSHIO KAJIWARA
90年代初頭のNYで磁気テープやSPレコードを使った独自の即興パフォーマンスを始める。クリスチャン・マークレイと世界各地をツアー、パフォーマンス・アートと実験音楽のイベント・シリーズ「PHONOMENA」をジョン・ゾーンが監督したスペース「TONIC」で5年間に渡り企画運営。また13年間、老舗中古レコード屋「A-1 Record Shop」の店長として、忘れられた音楽の発掘と再評価に貢献する。帰国後は舞台芸術分野で活動、国内外で演出作品を多数発表。2015年に「ANTIBODIES COLLECTIVE」を立ち上げ、より深く地域活性化支援や芸術教育の分野に貢献する活動の体勢をとっている。
東野祥子 YOKO HIGASHINO
10歳でダンスを始める。10代は平崎喬子、20代前半は泉克芳に師事。2000年~2014年「Dance Company BABY-Q」を主宰する。数々の舞台芸術作品を発表し、国内および海外のフェスティバル(アメリカ/フランス/ドイツ/ノルウェー/メキシコ/韓国/シンガポールなど)にも招聘される。ソロダンサーとしても数多くの即興ミュージシャンやアーティストとのセッションを展開。トヨタコレオグラフィーアワード2004「次代を担う振付家賞」、2005 年横浜ソロ×デュオ〈Competition〉+(プラス)「未来へ羽ばたく横浜賞」、2010年舞踊批評家協会新人賞など受賞。2005-2013年まで東京にてスタジオBABY-Q Lab.を運営し、人材育成を行う。また学校教育プログラムでの指導も積極的に行っている。 最近は「HE?XION! 」名義にて洋服デザインや「HE?XION!TAPES 」ではレーベルとしても活動を行う。地域創造ー公共ホール現代ダンス活性化事業ー登録アーティスト。2015年、京都に活動拠点を移し、「ANTIBODIES Collective」として多ジャンルのアーティストとともに国内外にて作品制作やパフォーマンスアクションを実践している。
仙石彬人 AKITO SENGOKU
2004年より「時間に絵を描く」をテーマに、リキッドライティングの技法を用いたライヴ・ヴィジュアル・パフォーマンス “TIME PAINTING”をはじめる。楽器を演奏をするかのように3台のOHPを同時に操りながら紡がれる光の絵は、絶えず変化し続け2度と同じにはならないその場限りの物語を描く。LIVEという表現方法にこだわり、あらゆるジャンルのミュージシャンやダンサー、アーティストとのコラボレートワークを活動の場としている。
2017年01月には国際交流基金の助成を受け、約一ヶ月におよぶフランスツアーを実施。フランスのデュオRhizottome、箏奏者の今西玲子との公演「庭師の夢」を4都市にて上演。また、アートを通じたこどもの教育活動にも積極的に取り組んでおり、浜松 鴨江アートセンターや金沢21世紀美術館など、全国各地でこども向けWS「じかんに絵をかこう」も行なっている。
この出演者の足跡・経歴を見ただけで、すごい人たちを漆舘さんは集めたんだな、と感心する。楽器演奏は私のアルトサックスと河合さんのピアノで、あとは電子音響(河合さんはその両方だが)。それに身体表現、OHPを使ったライブ映像表現、というマルチメディアの集合体というのも面白かった。
初めて会う人(私にはすべての方が初対面・初共演)との全即興(タイムテーブルが決められている以外は何の取り決めも無し)は、終始スリリングだった。大勢集まってくれたお客さんも、ほとんどが初めて会う人だった。要するに自分を「未知なサックス奏者」というとらえ方で接してもらえたということは、自分が試されるというプレッシャーもあるし、反面、ストレートに自分を出せるというしがらみのない解放感もある。そのせいか、いささか肩に力が入りすぎた演奏、音を撒き散らし過ぎた演奏になったかもしれない。それにこのスペースは音響的にとても良かったので、ついつい気持ち良すぎて無駄な音も出してしまう。
当日は、このようなタイムスケジュールだった。お客さんにとっては、タフな視聴になったと思うが、最後まで熱心に聴き入り、観入ってもらえた。
19:00 – 19:30 漆舘登洋
19:30 – 19:50 カジワラトシオ+東野祥子
20:00 – 20:20 柳川芳命 + 仙石彬人(Ohp)
20:30 – 20:50 永井清治 + 河合孝治 + 東野祥子
21:00 – 21:20 柳川芳命 + 河合孝治(pf,electronics)
21:30 – 21:50 永井清治 + カジワラトシオ + 仙石彬人
22:00 – 22:20 集団即興
実質、最後の集団即興が終わったのは午後11時近かったかな。濃密な4時間弱のひと時だった。個々のセットについてのコメントは差し控えるが、どの表現者も自分のアプローチについて修練(という言い方がふさわしいかどうかわからないが・・・)や探求、実験を積み重ねてこられたことがよくわかった。曖昧さがなく、精査されたものが明快に表現されている気がして気持ちよかった。自分の出番以外で、これほどのめりこんで、そして楽しめて視聴できたのは近年珍しい。
オープニングで魔界に誘うような音響のDJを披露した漆館さんは、渾身の企画をしてくれたと思う。6月の中旬か下旬にこの企画について出演の打診をいただいたと記憶しているが、それ以後きめこまかく連絡してくれて、緻密にプランを実行されていったことには敬意と感謝を抱いている。願わくば、この成果が今後につながっていくことを祈りたい。