Review:立花秀輝・一ノ瀬大悟・木全摩子・柳川芳命@TAKE ZERO

2019年10月11日(金) 四日市三栄町 jazz TAKE ZERO

・立花秀輝(as)  一ノ瀬大悟(b)    木全摩子(ds)  柳川芳命(as)

「元祖・人間凶器(のなか悟空+立花秀輝+一ノ瀬大悟)」の名古屋~京都ライブの合間を縫って、四日市テイクゼロにて上記4人のメンバーで演奏する。折しも大型で猛烈な勢いの台風19号が接近し、この日の夜半には風雨に見舞われるのではないかと心配された日であった。

何の決め事も曲もテーマも無く、最初に<一ノ瀬+柳川デュオ>、次に<立花+木全デュオ>、休憩を挟んで<カルテット>で演奏する。一ノ瀬さんとは、亡くなったもQさんの紹介で、日本天狗党の合宿セッションで知り合い、2004年に愛知県一宮市の三岸節子記念美術館で行った「音・即興展」(柳川主宰)で初共演。以後、名古屋のKUKUやカルヴァドスで、たびたび共演してきた。出会った頃から、意表を突く思い切りのいい斬り込みで合奏に介入し、淀むことなく、ひたすら力強く前進していくコントラバスのプレイで、共演のたびに進化発展してくプレーヤーだった。この日、久々にデュオでじっくり語り合ったという感じだった。彼は、留まらない、迎合しない、はい回らない、というフリーインプロビゼーションには欠かせないスタンス(自分でそう思っているだけ)を身に付けていて、共演していて自在に音を出し続けられられる。そして一緒に疾走している実感がもてる。終わってから伊藤マスターに、良かったとお褒めの言葉をいただけた。

立花さんとは3月になんやとゴーストVで2日連続共演して以来の再共演である。前にも書いたことの繰り返しになるが、正統なアルトの奏法はもちろん、異端奏法のフリークトーンさえも、磨かれコントロールされ、決して吹きぞこないとかミストーンではなく、刺激的な音で響かせているところが凄いと思う。それに即興でありながら(前もって考えているわけではなく)展開の組み立てが見事だなと思う。同様に、共演した摩子さんのドラムも引き出しが増え、奏法が多種多彩になって、それがうまく整理された中で臨機応変に繰り出していくので、お二人のデュオには飽きるところなく終始惹きつけられた。

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最後、4人での演奏になると、他人の音に追従したり合わせたりしないで、自分以外の3人が出している音の合間をかいくぐって、あえて違和感のあるような、そして無関係に思えるような刺激的な音を出し合ったりするので、サウンドシーンが絶えず変化して面白かった。約30分の変化に満ちた演奏ができた。それだけいろいろな技を各人蓄えていて、出し方を心得ているんだろうな。このライブ、聴き逃した人に「実に惜しいことをしましたね」と言いたい気分である。

プレゼンテーション1