Review:宮本隆・マツダカズヒコ・木全摩子・柳川芳命@Valentinedrive

2019年11月28日(木) 名古屋今池 バレンタインドライブ

宮本隆(el-b)   マツダカズヒコ(el-g)   木全摩子(ds)   柳川芳命(as)

11月28日は、「太平洋記念日・・・1520年のこの日、ポルトガルの航海者マゼランが、後にマゼラン海峡と命名される南米大陸南端の海峡を通過して太平洋に出た日」と、いうわけで、Pacific Advanceと名付けたこの日のセッション、大阪から宮本さんを迎えるにあたって、上記のメンバーが面白いだろうと声をかけた。

さて、宮本さんとはどういう経緯で共演するようになったのだろうか?整理したところ以下のようであった。

2016.5.2. 心斎橋のBASSOで開催された「Perspective Emotion」で初めて出会う。

2016.7.22 名古屋のなんやで行われた「トリオ祭」にそれぞれで出演。再会。

2016.7.30 大阪の創徳庵にてデュオで初共演。

2016.9.17 大阪の難波屋で、宮本隆+木村文彦+柳川のトリオで共演。

2017.12.20 名古屋のバレンタインドライブで、宮本隆、マツダカズヒコ、Meg Mazaki,、柳川の「MMMYプロジェクト」で共演。

2018.3.9 バレンタインドライブにて、「此の四人」と「宮本隆+向井千恵+一談」の交流セッションで共演。

2018.3.24 近江八幡の酒游舘にて、「レモンのテロル」(マツダカズヒコ+Meg+後藤宏光+柳川)と「3ミラーズ」(宮本隆+石神加寿也+木村文彦)で出演。

2018.7.15 神戸のビッグアップルでの「Perspective Emotion」にそれぞれ出演。

2018.7.17 大阪のゼロゲージで、「坂田明+ニコラスフィールド」と「宮本+柳川」で出演。

2018.9.9 ゼロゲージにて、「Trespass Trio」との対バンで「宮本隆+Meg+柳川」のトリオで共演。

2018.11.25 酒游舘で、AAの遺産「宮本+マツダ+Take-Bow+Meg+後藤宏光+柳川」で共演。

2019.8.10 難波ベアーズでの「アブストラクト・ミュージック・ミーティング」にそれぞれのユニットで出演。

初共演からもう3年以上たっているのだな。それに結構回数を重ねている。年月の過ぎるのは速い。

この日のメンバーでの即興演奏がどんなものになるか、ある程度イメージが出来ていた。それは、今年の7月に宮本さんを除く3人でバレンタインドライブでやった演奏に手ごたえあり、今回はそれを土台にしたメンバー編成だったせいもある。この日実際にやってみて、凝集度の高い、それでいてヴァリエーションに富んだ展開の即興演奏ができたと思う。

ファーストステージでは、あらかじめ何も決めず4人で始めたのだが、その中で各自の判断で演奏に出たり入ったりすることで、自然な流れでトリオやデュオ、ソロになる場面が生まれ、約33分の演奏がドラマのようだった。

セカンドセットは、ベースソロからベース+ドラムのデュオ、その後ギター、サックスが順次加わるという大まかな筋書きで演奏を進めた。宮本さんと摩子さんのデュオ場面では、オンビートでのタイトな演奏になり、日頃の自分の即興演奏ではほとんどやることも聴くこともないシーンが生まれた。セカンドセットも、うねりの大きな展開になり、途中「もう終わりかな、まだ続くのかな?」と他のメンバーの意向を探りながら進める場面もあったが、その間の淀んだ場面も、聴く人たちに弛緩を与えるものになった(かもしれない)。こちらは37分ほどの演奏だったが、4人の音が非常にクリアで、各人がこれまでどんな音楽を聴いて(演って)今日に至っているのかがわかるものだった。これだからフリーフォームの即興演奏は面白い。履歴が隠せないからである。

★宮本隆さんがフェイスブックに投稿された言葉を引用させていただいた。

PACIFIC ADVANCE<柳川 芳命(as)マツダ カズヒコ(g)宮本 隆(b)木全 摩子(ds)>@バレンタインドライブ名古屋終了。初共演となる摩子様(柳川氏がそう呼んでいる)のロック的な縦に刻まれるヘヴィなリズムに乗ったスリリングな即興であった。マツダ氏の引き出しの多彩さ、柳川氏の号砲と神秘さが交差する独特のサックス音に心地よさを感じ、4人で様々な場面を作れたと実感。今、録音音源を聴いているが、思ったより立体的な音像が聴こえてくる。私とマツダ氏がエレクトリックなので、フルボリュームになった時のサックスの溶け込み具合もいい。サックスという‘うわもの’だけが前に突出せず、サックス、ギター、ベース、ドラムの四つのパートのどれもが、交互に前後しながら演奏が続いていく結果になっている所が気に入った。初の組み合わせの4人だったが、音の相性というか4つのパートの必然を感じさせる演奏にも感じ、またやりたいと願っている。バレンタインドライブの音の響き方もほどよくデッドでやはり好感。平日にも拘らずお客さん結構来てくださり、充実のライブでした。

78634263_2740142512764639_2884477186767585280_n