Review:蠍座二人組(木全摩子・柳川芳命)+Maresuke@GHOST V

2019年12月7日(土)岐阜 長住町 Jazz GHOST V

・木全摩子(ds)    ・柳川芳命(as)    ・Maresuke(contrabass)

木全摩子さんとのデュオは、2016年8月に名古屋御器所の「なんや」で初の公開演奏を行った。(同年の4月からスタジオでの非公開セッションは行ってきた。)そして、昨年2018年12月に改めて「蠍座二人組」としてゴーストVでデュオを行い、以来、毎年12月にはゴーストVにてデュオを行っていくという計画を立てた。摩子さんは1年間の自分の成長を確かめるため、という思いで臨んでいる。この日はその2回目である。そこに東京からツアーで名古屋に来ているMaresukeさんに入ってもらい、3人で演奏することになった。摩子さんとMaresukeさんは、以前にも共演しているが、この日は久しぶりの共演となる。

まず、「蠍座二人組」として、摩子さんとデュオを行う。約16分の凝集度の高い演奏だった。お互いが相手の出す音を待って(聴いて)レスポンスしていくのではなく、それぞれ自由に自分の即興を展開していきながらも、深層部で共鳴し合っていくようなデュオになってきた。摩子さんのドラムはしなやかでフットワークよく、そして明るい。昨年12月の蠍座二人組の演奏より、お互いりきむことなくのびのびとやれたのではないかと思った。

2曲目からMaresukeさんに入ってもらう。Maresukeさんは久しぶりのゴーストVでの演奏で、地元のお客さんにとって初めて彼の演奏を聴く人もいることもあり、コントラバスの音に注目してもらえるよう、出だしはサックスが引っ込んで摩子さんとのデュオで始めてもらった。このデュオは、ふたりの間合いの取り具合が面白く、絡みつき過ぎず、疎遠になり過ぎず、という感じで、それぞれが自在に遊泳しているように思えた。途中からサックスが加わりトリオへ。自分に関しては、息の切れ目から次の息を注ぎ込むまでの間の取り方を意識してみようと思った。Maresukeさんも摩子さんもこれまで何度も共演してもらっている相手なので、気持ち的にはゆとりが持てる。ゆとりというより信頼感かな。(初共演の人だと、ついつい自分は音を次から次へと出してしまい、間を詰めてしまうところがある。それは、会話に置き換えると、まだ信頼感がない人と会話するとき、沈黙が生まれるのが怖くて喋り過ぎるのと似ている。)

セカンドセットは3人で始め、どの演奏場面も同じような「金太郎飴」のごとき三重奏にならないよう、自分が黙る場面もそれぞれがつくりながら約35分ノンストップで演奏した。即興百戦錬磨のMaresukeさんのことなので、クライマックスにもっていって大団円で終わるというような作為的でベタな展開(勿論そういう演奏の終え方も彼は心得ていると思うが)はしない。まるで突然死のような終わり方で、3人の考えていることが偶然に一致したかのようなさりげないエンディングで良かった。

プレゼンテーション1