2020年1月5日(日) 名古屋今池 「海月の詩」
・仲曽根有里(vo,pf) 臼井康浩(gt) 柳川芳命(as)
・アフターセッション +後藤宏光(三線) +Kaoru(舞) +浅井一男(electronics)
臼井さんからのお誘いで参加させてもらった。大阪や神戸を活動の拠点とするボイスとピアノの仲曽根有里さんとは初共演である。女性でボイスをやられる方はこのところ増えてきていると思うが、自分にはなかなか共演する機会が少ないので新鮮であった。臼井さんとは2000年頃か、あるいはもうちょっと前から名古屋のKUKU、聖家族、一宮のプレゼンチなどでたまにやってきたが、最近少人数編制ではあまり一緒にやる機会が無かったので、これまた新鮮であった。
この日、仲曽根さんと臼井さんのデュオでは、それぞれのオリジナルの楽曲も聴かせてもらった。即興の要素も大きいもので、きっと共演するたびに、あるいは共演相手が変わるたびにいろいろ変容し成長していく曲なのだろうと思った。何か摩訶不思議な(としか言えないような)曲調なのだが違和感はなく、肩の力が抜けたこわばりの無い自然体での表現は、聴く者の感性に素直に溶け込んでくる。仲曽根さんとの即興デュオや即興トリオやって感じたことは、彼女は自我の出し方や納め方の加減が絶妙で、何というか、どんな物質でも溶かしてしまう溶液のような感じだった。それでいて受け身というわけでもなく、音の印象がいつまでも残る存在感のある表現だった。どんなタイプのプレーヤーとでも柔軟に弾力的にかかわっていける人という印象を受けた。
臼井さんとは、録音を意図して短めのデュオをやらせてもらった。デュオは久しぶりである。まさに灯台下暗しという感じだった。その速度感(疾走感)や演奏の密度の高さみたいなものに手ごたえがあった。他力本願でオートマチックに音を出し続けられるような感覚で吹奏を楽しめた。「反応」と言うより「反射」に近い感じで次の出る音が湧き出てくる。アクセルペダルから足を離しても加速感が体に伝道してくるような感じだった。
新鮮で、気負いが無く、解放的な感覚を味わえた2020年初の演奏会だった。アフターセッションでの後藤宏光さんの三線、Kaoruさんの舞、マスター浅井さんのエレクトロニクス。それぞれ一般の感覚では異質なものだが、全て溶解されて透明な液体になっていった。これも仲曽根さんの存在ゆえか・・・。