Review:あかぎしほ+柳川芳命@燈門

2020年1月16日(木) 大阪本町 「燈門」

・あかぎしほ(p)    柳川芳命(as)

燈門でのこのデュオは一昨年12月以来2度目、約13か月ぶりである。昨年3月にあかぎしほさんのバンドが岐阜の「パノニカ」で演奏したとき、飛び入りをさせてもらって十数分程度デュオをやったので、回数的には3回目になる。そのすべてが全即興である。

ルールも筋書きも着地点も決めない全即興となると、その人がこれまでのどんなふうに音楽に関わってきたのか、というのがくっきりと浮き出てくる。きっと感性の中に刷り込まれてきた音楽的な美意識(高揚感、陶酔感・・・)が即興をやるときに出てくるのだろうと思う。また、相手の音に自分の音をどう重ねていくかというアプローチの仕方は、その人の社会性というか、他人との関係のもち方が浮き出てくると思う。

あかぎしほさんは、長いピアノ演奏の経歴から音楽的に豊富な引き出しを持っていて、いつどんなときでも自在にそれらの引き出しから音を見つけ出し、取り出せる感じである。それに、共演者の即興の流れのちょっとした変化に瞬時に反応(それどころか、次に共演者がどう展開しようとしているのか先を読んでいるように思えることがある)する鋭さがある。なので、どんなにめちゃくちゃにやったとしても、音楽的な香りが確固としてそこに在る。このことはフリーな即興演奏をする上で大事なことではないかと思う。昔、「歌心を大事にしたい」と言ったことがあるが、そのことと同じである。

この日、1曲目は、打ち合わせ無しにいきなり二人で演奏を始める。2曲目は、サックスのソロで導入して、ころあいを見てピアノが入ってデュオになる。3曲目は、ピアノのソロで導入して、途中でサックスが入ってデュオ。4曲目は1曲目同様に同時にデュオを始める。という4つの演奏を行った。どちらかのソロで始めることで、どちらかが演奏の方向性を提示し、そこに絡んで二人で展開していくことで、違った側面が演奏に現れるのではないかと考えた。また、1曲目と4曲目でどんな風に演奏が変容するか、というのも興味があった。

各曲15分前後の演奏時間だったが、続けようと思えばいつまでも続けられそうな気がした。次に出す音がおのずと閃いてくるような音を提供し合えたからだろう。現時点では互いが向かい合って相手の音を真正面から受け止めながら演奏している感じだが、今後回を重ねていくと、相手をかわしたり、反駁したり、かかわりを解き放って好き勝手に遊びだしたり・・・というような演奏になるかもしれない。別にそのほうがいいというわけでは無いし、それが進化・発展の道筋だというわけではない。関係性が共演回数を増すごとに変容していくだろうということである。こういう共演者相互の関係性の変化を楽しめるのも、即興演奏の面白さだと思っている。

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