2020年2月1日(土) 名古屋 御器所 なんや
・びわこノイズサミット <小松バラバラ(vo) edge minami(as) 戸谷肇 (el-b)>
・Samadhi サマーディ <鈴木茂流(el-b) マツダカズヒコ(gt) 柳川芳命(as)>
「びわこノイズサミット」は、滋賀県民によるボイス、サックス、ベースからなる即興演奏のバンドで、今回初めて名古屋でそのパフォーマンスを披露する。小松バラバラさんは「隣人」などのバンドで、すでに2年ほど前から名古屋に来ては、その異形ぶりで名古屋即興ファンの心をわしづかみにしているボイスパフォーマーである。edgeさん、戸谷さんも現在は滋賀県守山に住んでおり、滋賀県の新しい即興ムーブメントの精鋭たちである。お二人は今回初めて名古屋で演奏をされたようだ。
これを迎え撃つ名古屋の老舗バンドの「サマーディ」は、すでに結成20年記念ライブを終え、3人がその気になればライブをやるという悠々自適のバンドである。近年、ゲスト・ドラマーを加えての演奏が多かったのだが。今回は純正の3人編成で臨む。
二つのバンドのアプローチは対照的だった。びわこノイズサミットは、アンビエントなサウンドの流れに、突然の発作的な暴発が繰り返され、弛緩と緊張が瞬発的に切り替わる切れ味のいいアプローチ。一方のサマーディーは、真綿で首を絞めるように、じわじわと侵攻していき制覇していくアプローチに思えた。どちらのバンドにも言えることは、メンバーそれぞれが自分のテイストを存分に出して、トリオのサウンドを作っていることではないかと思った。小松さんの原生的ボイス、edgeさんのノイズ化され分裂的なサウンドを散りばめるサックス、その両者の対極に位置するような、柔らかく抱擁するようなサウンドの戸谷さんのベース。この3者の音のブレンドで生まれるサウンドの奇妙なテイストにお客さんたちも魅了されたのではないかと思う。サマーディーも長年一緒にやってはいるが、「合わせる(=同じようなことをやる)」ということが、いかに不毛な結果をもたらすかをわかっていて、パーソナルスペースを守りながらの合奏のスタンスをわきまえている感じである。それが長年一緒にやっていても煮詰まらない良さのような気がする。
それぞれのバンドの演奏後、鈴木さんと戸谷さんのインテリジェンスな香りのするベースデュオ。マツダさんとedgeさんのときに遊戯的な絡み合いが楽しめた多彩な動きのあるデュオ、小松さんと柳川の咆哮漫才デュオが繰り広げられ、最後は6人全員で合奏。それぞれ節度をわきまえてやったのでカオスにはならなかった(と思う)。
この「びわこノイズサミット」を核に、今後、滋賀県の即興シーンに火が付くとおもしろそうである。名古屋、岐阜、三重、滋賀・・・変な音楽が好きな人の感染は徐々に広まっている。