Review:M☆A☆S☆H & After It’s Gone@酒游舘

2020年3月6日(金) 滋賀・近江八幡 サケデリックスペース酒游舘

・M☆A☆S☆H <大沼志朗ds 森順治as  雨宮拓pf>

・After It’s Gone <柳川芳命as Meg Mazaki ds>

セッション:松原臨 ss  井上和徳 ts  小松バラバラ voice

2013年の夏だった。横浜・白楽の「ビッチェズブリュー」にM☆A☆S☆H(マッシュ)が出演するということで、サックスを担いで旅行気分で聴きに行った。あわよくば1曲一緒に吹かせてもらおうという目論見だった。大沼さんとは96年に名古屋のKUKUでデュオでやらせてもらったことや、12年にはカルヴァドスの『地と図』でゲスト出演してもらった縁がある。森さんとは01年の日本天狗党の信州の合宿セッションで顔見知りだった。それもあってビッチェズブリューでは2ステージとも吹かせてもらい、こともあろうにギャラまでいただいた。「この金は俺たちを名古屋に呼ぶときの資金にしてくれ」と大沼さんに言われた。しかしながら、マッシュを名古屋に呼ぶことはなかなか出来ずじまいであった。

昨年4月に森順治さんを招いて岐阜、名古屋で演奏会を企画したとき、幸運にも雨宮さんも同行してもらえ、お二人と岐阜のゴーストV、名古屋のなんやと海月の詩で共演ができた。が、肝心のバンマス大沼さんを含めたバンドとしてのライブは実現できずにいた。いつか中部地方に来てもらえる機会を作りたいと考えていたら、マッシュとして西尾のインテルサットの周年記念ライブと大津TIOに出演という情報を得た。大津TIOはMegさんが企画するということで、対バンとして柳川+Megデュオで一緒に出させてもらえることになった次第である。

ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、TIOでは演奏できなくなったため、急遽場所を同じ滋賀県の酒游舘に移して、Megさんと私のデュオとの2メンで、さらに自由参加のセッション付きで開催することになった。

当日、まず柳川+Megデュオ(シリーズAfter I’ts Gone)が、オープニングアクトとして20分弱の演奏する。いつものデュオとはちょっと違って、「歌う」感じの演奏になる。酒游舘は響きがいいので、ついメロディを吹きたくなるせいかもしれない。いつも以上にMegさんのドラムがいい感じで制御されている感じがした。普段より短めの演奏時間ということもあって、寄り道せず、まっすぐに突き進んでいこうという気持ちがお互いにあったのだろう。

AIG

続いてマッシュの演奏。いつものように曲とかテーマ、事前の打ち合わせなど一切無しで始まった。3人のコンビネーションの確かさが伝わってきた。フリージャズの魅力を満載したストレートで爽快な演奏だった。また、さまざまなサウンドシーンが自然な流れでつながっていく感じの約30分のコンパクトなセットだったが、それで十分に満喫できた。グランドピアノで聴く雨宮さんのピアノは骨太でクリア、そして迫力があった。大沼さんのシャープでストレートなドラムは、月並みな言葉で言うならとてもカッコいい。森さんの柔らかく太いアルトの音色は、どんなに激しく吹いても温かみがある。久々にフリージャズの醍醐味を味わえる演奏を聴けた。

MASH1

MASH2

セッション①井上和徳+雨宮拓+Meg Mazaki

ここでは井上さんのテナーの大上段からのパワフルなブロウに説得力があった。

井上+雨宮+Meg

②小松バラバラ+森順治

フリーセッション百戦練磨の森さんと、天然フリークの小松さんのボイスの絡みは興味津々であった。オープンマインドで正対し合ってのデュオだった。小松さんの最近の即興のアプローチに協働性みたいな意識を感じるようになった。

森+小松

③松原臨+大沼志朗+柳川

松原さんの吹奏は、フリークトーンとかに依存せずソプラノサックス本来の音色の美しさを最大限引き出すプレイで、そこには年輪を感じた。特殊奏法とかで奇をてらうプレイヤーとは深みが違う。

しばらくして大沼さんが潔く演奏を終え、その後は森さん、井上さんが加わりサックス四重奏になる。サックス吹きはこうい編成が案外好きである。

(早く打ち上げで酒游舘の地酒を呑みたいという思いからか)だらだらした冗長なセッションにならず、すべてのセットに於いてしまりのある凝集度の高い演奏が繰り広げられた。オトナなのか単なる酒呑みなのか・・・。

松原+柳川+大沼

sax4