2020年4月26日 Band Campにて野々山玲子さん、臼井康浩さん、柳川の3人による4つの音源をリリースしました。リリースに至るまでの経緯と、このR-O-W Projectについては、以下のとおりです。
2020年4月以降、新型コロナウイルス感染拡大防止のため緊急事態宣言が発せられ、ライブ会場での演奏会の実施が困難になってきました。現時点で5月6日までの演奏会はすべて中止になりました。5月6日以降も状況によってはこの状態が継続する可能性もあります。
こういった中でも出来る演奏活動は無いものだろうか?ということで、野々山玲子さんから、互いのソロ演奏を自宅で録音して、それを送り合って、相手のソロ演奏を聴いてそれに自分の演奏を重ねる(多重録音)ことをしてみてはどうだろうか?という提案がありました。もちろんその中においては、ライブのような互いの演奏に相互に反応し合っていくインタラクションはありません。なのでこれはセッションというよりは作品づくりであろうと思いました。
4月中旬に、自宅の防音室で録音した即興のアルトサックスソロを数曲野々山さんに送りました。その中から野々山さんが1曲選んで、それを聴きながら即興でドラム演奏をし、両者の音をオーバーダビングしたものを共有して試聴してみました。ライブ録音を聴きなれた自分には違和感が最初ありましたが、何度か聴いていくうち、ああ、こういう音楽もまた面白いかもしれない、という思いになってきました。次に、野々山さんから即興ドラムソロを送ってもらい、それを聴いてサックスを吹くということをやりました。できるだけ日頃の即興デュオに近い条件で吹奏しようと思い、録音は初聴、やり直し無しのワンテイクで録音して、野々山さんにミックスしてもらいました。こちらのほうは日頃やっている即興デュオに近いので、自分としては違和感は無かったです。しかし、野々山さんはどう感じたはわかりません。
もう一人加えて三重奏にしてはどうか、という気になって、自宅でギターの録音とかミキシング、マスタリングなどもやっている臼井さんに参加を呼びかけました。OKしてもらえたので、誰から順番に音を重ねていくかを考えました。3人でやる場合、その順番は6通りになります。6曲はちょっと大変だろうから、さしあたり4通りのパターンを選んで、順にオーバーダビングしていきました。
自分が一番に録音するときは無伴奏ソロです。演奏の方向を示すものでもありますが、あとの二人がどのような演奏で音をかぶせてくるか予想できません。そこに面白さがありました。最後に自分が録音する場合は、ライブでの即興トリオ演奏に近い感覚で演奏することになりますが、自分の演奏に対する反応は当然ありません。それは<無いものねだり>なのであきらめることにして、最終的に3つの演奏が重なるとどうなるだろうかということに期待を寄せました。
こうして、3人の演奏をミックスして仕上げに臼井さんにマスタリングしてもらった4曲がこれです。聴いていただき何かを感じていただければ幸いです。また、自分も参加してみたいという思いになられたらお声掛けください。このR-O-W Project<My Home Recording 自宅多重録音リレー式>は、野々山、臼井、柳川の3人を軸に、徐々に参加者が広がっていってもいいなと思っています。
ただ、「ライブこそが本来のあるべき即興演奏活動である」という思いは揺るぎませんので、あくまで<実験的な即興演奏のコラージュ作品づくり>と割り切っています。ライブが出来るような状況に戻れば、このProjectも変容していくと思われます。