2020年11月14日(土) 名古屋・今池 バレンタインドライブ
・モンク・タ・レイ <境知成子(p)+鈴木泰徳(ds)> from 大阪
・柳川芳命(as)+一ノ瀬大悟(contrabass)
特別参加: 服部則仁(ts)
ドラマーの鈴木泰徳さんには、これまで大阪での数々の即興セッションに招いてもらって、大阪のジャズミュージシャンとも知り合いになれた。今回はそんな中のお一人で、鈴木さんとデュオを組んでいるピアノの境知成子(さかい・ちせこ)さんを迎えての演奏会である。モンク・タ・レイはセロニアスモンクのトリビュートだけでなく、フリーインプロビゼーションも行うユニットである。
受け入れ側は、2004年から断続的に共演している一ノ瀬大悟さんとのデュオ。16年間の我々の歩みの中では、稲葉一将(ts)さんを交えてのトリオ、その後2005年にはカルヴァドスでの隔月即興セッション、それから2009年2月から始めたシリーズ『地と図』にはたまに参加してもらっていた。いろいろな人を交えてやってきたが、最終的にはデュオという形態が我々にはベストかなと思っている。サックスとコントラバス以外の音は必要無いと思える音世界を築けるからである。
今回は久々に長尺デュオを約30分と短尺5分の2曲を演奏。個人的にはやや喋り過ぎの吹奏だと反省しているが、それぐらいとめども無く自分の中から音が湧いてくる。そういうふうに仕向けるのは一ノ瀬さんのコントラバスだった。歩調が合うと言うか、スピード感が合うと言うか、場面転換のタイミングが合うというか・・・。そのため自由奔放に吹ける。それが喋り過ぎた、という反省にもなっている。


モンク・タ・レイのお二人は、今回は「ラウンドアバウトミッドナイト」のテーマフレーズが聴こえた場面もあったが、あとは全即興だった。(自分が聴き取れてなかったモンクの曲があったかもしれない。)境さんの即興の展開はとても自然で、意識と演奏が一体になっている感じがした。全体的な印象も明るく透明感があるなと感じた。ピアノとの共演の鈴木さんのドラミングは今回初めて聴いたが、ドラムセットから引き出せるかぎりの多彩な音が鮮やかに散りばめられていて、万華鏡を見ているような感覚だった。打音が優しくもあり、力強くもあり、そのあたりのバランスのとり方が心地よく、ミラクルの連続だった。

最後、お客さんで来てくれた服部”しゃちょ”則仁さんがマーチンのテナーで参加してくれ、5人での即興演奏を20分ほどやる。アルト、テナー、ピアノ、ベース、ドラムスというのはジャズで定番の編成であるが、インプロヴィゼーションのユニットとして自分は案外やってない。それだけに新鮮だったし、各自の即興の絡みがどうなっても、まとまり感のあるアンサンブルになる。なので、(自分は)とても余裕と安心感を持って吹かせてもらった。

