2020年12月6日(日) 東京・入谷 なってるハウス
・照内央晴(p) Meg Mazaki(ds) 柳川芳命(as)
照内さんとの共演歴をたどってみようと過去帳を見たら、照内さんは2014年7月にTokyo Improvisers OrchestraのメンバーとしてK.D.ハポン(名古屋・鶴舞)に来ていて、自分は飛び入りで参加して共演したのが最初だとわかった。しかし、この時は出演メンバーが多く、演奏後のメンバー紹介でピアニストの名前を呼ばれただけなので、それが照内さんだったという認識が無かった(失礼しました)。照内さんと認識してからの共演は以下の通り。
◆2015.11.13 カルヴァドス(名古屋) 庄子勝治 照内央晴 ※庄子さんが照内さんを紹介してくれて3人で演奏することになった。
◆2016.01.11 酒游舘(近江八幡) この日は、Maresukeさん、ユーグ・ヴァンサンさんとフランスからの「ギロチンカルテット」のツアーで、自分はゲスト参加。観客で来ていた照内さんが飛び入りでピアノを少し弾いた。
◆2016.05.28 酒游舘 Megさんの企画で、「隣人」、アカノシバヒトさん、三木勇さんたちを対バンメンバーとして、<照内・柳川・一ノ瀬・Meg>というカルテットで演奏。
◆2016.08.19 カルヴァドス シリーズ「地と図」の99回目のゲストに、庄子さん、照内さんを招く。この日はアフターセッションも行ったので名古屋近隣の奏者との出会いもあった。
◆2017.02.27 酒游舘 藤田亮ソロ、照内央晴ソロ、柳川+Megデュオ の3本立て
◆2017.06.16 バレンタインドライブ(名古屋) <照内央晴+松本ちはや>レコ発ライブツアー、対バンに、<樽本里美・山田さとし・柳川>のトリオ
◆2017.06.17 酒游舘 <照内央晴+松本ちはや>レコ発ライブツアーの対バンに、<柳川+Megデュオ>
◆2018.02.02 ゴーストV(岐阜) 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.02.03 テイクゼロ(四日市) 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.02.04 パーカーハウスロール(京都) 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.08.09 バレンタインドライブ 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.08.10 パーカーハウスロール 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.08.11 ゴーストV 照内・Meg・柳川トリオ
◆2018.08.12 テイクゼロ 照内・Meg・柳川トリオ
◆2019.01.13 酒游舘 新春即興セッション Maresuke 照内央晴 橋本英樹 松原臨 Meg Mazaki 自由参加のセッションも後半で行う。
◆2019.05.26 藤居本家(彦根) 松原臨+富松慎吾+照内央晴+柳川
◆2020.01.18 パノニカ(岐阜) 照内・Meg・柳川トリオ+渡辺敦
◆2020.01.19 酒游舘 照内・Meg・柳川トリオ+ナカタニタツヤ
◆2020.01.20 海月の詩(名古屋) 照内・Meg・柳川トリオ
こうやって書き出してみると、驚くほどたくさん共演させてもらっている。トリオの形でミニツアーを始めたのは2018年2月からで、以後3デイズ程度の中部・関西ツアーを何回かやってきた。しかし、照内さんの本拠地である東京では一度もやってこなかったので、今回は照内さんにブッキング等をお任せして、「なってるハウス」でやることになった。
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「最初にトリオを少し、そのあとメドレー風に3パターンのデュオ。休憩後は何も決めずトリオを長尺で」というのが演奏前に打ち合わせたことだった。1曲目はウォーミングアップ程度のトリオかと思ったが、やり出すとすぐにヒートアップして、1曲目からこのペースか?と思いつつ約15分間のハードボイルドな演奏になる。

続く2曲目。<照内+柳川>~<照内+Meg>~<Meg+柳川>と、3パターンデュオを切らずにメドレー風に行う。1曲目のトリオの終盤がハードボイルドな感じだったので、<照内+柳川>の出だしは、穏やかに、抒情的に、メロディアスに。<照内+Meg>では、アルミの弁当箱などのフリーク音(聴いていて歯が痛くなった)や、ピアノの内部奏法などで遊戯的な演奏になる。この日昼間に3人で聴きに行った浅草「ギャラリーエフ」での、廃材パーカッショニストの演奏が影響したのだろうか? 最後の<Meg+柳川>は、いつもやっているデュオの東京お披露目というか、デモンストレーションという感じで、元気一杯出し切ってピタッと終わる。

セカンドステージ。録音で確かめたら38分程度で思ったより短かった。おそらく25分ぐらいのところで終末感ある演奏になっていったので、自分は引っ込んだのだが、照内さんが、やおらベルみたいなのを持ち出して、グランドピアノの内部に放り込み、プリペアード風?な荒技で演奏を始めた。どこか遊戯的でしばらくは微笑ましくその演奏の様子を見守っていたが、この写真で分かるように目は座っており、憑依してアナザーワールドに意識が行ってしまったのだろうかと思った。

ここは、さわらぬ神に祟りなし、という教えに従い、しばし遠巻きに彼のソロを眺める。しばらくしてアナザーワールドから戻ってきて鍵盤を優しく弾き出したのを機に、ソフトなブレスで「おかえりなさい、楽しかったね」と吹奏し、何事も無かったように穏やかに終わる。演奏直後のピアニストの表情は「放心」という言葉を具現していた(ように見えた)。
ピアニストはこのあと普段の人格になり、深夜店を出て帰り際に「松屋」でねぎたま牛丼を食しておられたときは、全くの常人でありました。照内さんは、我々のツアーを珍道中と言っておられるが、その要因が自身にあることは自覚しておられないようだ。
写真:齊藤聡さん。ありがとうございました。
なお、2夜連続で聴いてくださった櫻井さん、大島さん、赤木さん。最敬礼したい思いです。ありがとうございました!