2021年2月4日(木) 名古屋・御器所 なんや
・柳川芳命(as) ソロ セッション:佐藤シゲル(6弦b) 吉田崇(per) PUYO(as)
緊急事態宣言下により20時閉店のため、18時より演奏開始。終了したのは19時半ごろ。そんな窮屈な中でも、セッションに来てくれる人や参観に来てくれた方には感謝したい。
ワンマンのソロ演奏会をやりたいのはやまやまなのだが、集客の困難さから、つい開催を躊躇する。今回も当初予定していた共演者が諸事情で名古屋に来て演奏することが出来なくなったため、ソロをやることになった次第である。 1980年頃、初めて地元の貸しギャラリーでソロをやっていた初心に戻って、飛び入りOK、カンパ歓迎ということで開催した。
まずソロを約30分やった。あらかじめ筋書きを考えて演奏することはなく、いつも「とりあえず一音、とりあえずワンフレーズ」から始め、出てしまった音(それは意図して出した音ばかりではなく、偶然に出てしまった音もあるのだが)に、どう次の音を繋げていこうか、という自由選択の連続が結果として即興演奏になる。一つのフレーズを吹き終わらない前に、次にこうしようとか、ああしようとか閃き過ぎると、そっちに気が行ってしまって「迷い箸」のような状態になり、散漫な即興演奏になる。逆に、次の音・フレーズが閃かず演奏が淀んでしまい、指癖で場をつなぐ演奏をしてしまうと「はい回り」の即興になってしまう。どれだけ即興演奏をやっていても難しいものであるなあ・・・。みなさんはどうやってソロでの即興をやっているのだろう?

ソロの後に佐藤さん、吉田さんを交えたトリオを15分、さらに店主のPUYOさんも交えたカルテットを15分。セッションのほうもとても面白かった。
佐藤さんや吉田さんは、プログレッシブロックなど、これまで聴いてこられた音楽も近いみたいだが、ジャンベという民族楽器とエレクトリックベースというハイテク(死語か?)電子楽器という異質な組み合わせが面白い。自分は?と言うと、フリージャズのサックスの影響もあるけれど、それ以前に、子供のころ聴いた昭和歌謡やサムテイラーのムーディーなサックスのほうが先に体に入っていて、案外自分のサックス演奏のルーツはそういうところなのだろうと思う。少なくともビバップのサックスとかは上滑りで通過していて、チャーリーパーカーで言うと、ビバップのメカニカルな曲芸のような曲より、ウィズ・ストリングスのほうが好みである。
このように異質なメンバー編成でやる集団全即興のほうが、同胞のメンバー編成でのものより面白いものが出来るし、やっていてもスリルがある。ダメなときはダメかもしれないが、凄い瞬間に思わずやっていて興奮することがある。ということで、この3人の組み合わせはなかなかいいと思った。
さらにPUYOさんが加わり、同じ楽器が重なると、両者の役割分担が見えてくるまでは右往左往することもあるが、いったんツボにはまるとアルトサックスどうし、陰になり日向になりと役割を交換しながら面白い絡みが生まれる。カルテットでのセットの後半は、まさにそんな状態だった。
詰まるところ、ノープランでその場の思い付きで表現するのが好きなので、自分は全即興にはまり込み、抜け出られなくなったのだろう。だが、それは音楽の上だけの話で、自分の生活については全くそうではないと思う。日常の反動がこういう演奏をさせているのだろうか?
