2021年3月28日(日) 名古屋・笠寺 アートスタジオπ
・タナカえん(performance) 野々山玲子(percussion) 柳川芳命(alto-sax)
タナカえんさんが昨年12月につくったアートスタジオπ(パイ:えんさんのスタジオなので円周率のπ)でのイベントである。ちょうど1か月前の2月28日に用あってここに伺ったのだが、以後室内が整えられて、パフォーマンスにふさわしい空間になっていた。壁面にはえんさんの作品なども飾られていて、至る所アート感覚があふれていた。
問題は防音であった。ステージはコンクリートの壁、鉄のシャッターに囲まれていて良好な響きが得られるが、果たして外(周辺の住宅)にどれぐらい漏れるか?である。 今後のイベントに差しさわりが無いようにフルボリウムで音を出すことは控えたが、自分はまあまあ普通の音量で吹いたし、野々山さんもビッグマックのような(?)厚さのスネアドラムを、通常の叩き方で叩いた。 結果として、雨降りの午後ということが少しは幸いしたのか、サックスもスネアドラム、シンバル、ハイハット等の打楽器の音も、さほど周辺に迷惑をかけなかったようだ。
前半のステージ約40分は何も筋書きを決めず3人で。後半はサックスソロ~パフォーマンスのみ~パーカッションソロと繋いでいき、その後3人でフィナーレまでもって行く、という展開で行った。えんさんの身体表現は、ダンスや舞踏とも違う、やはりパフォーマンス(行為)というしかない独自のものだった。決して「舞わない」という動作が自分には新鮮に写った。それでいてエモーションの起伏が伝わってくるのである。
シンプルな楽器編成での共演は、デコレーションをそぎ落とした本質むき出しの演奏になるが、自分としてはそういう演奏が好みである。そのために、できるだけリラックスして吹奏できるように、ハーフサイズの 畳の上 で普段家で練習している胡坐の姿勢で吹く。野々山さんとはいろいろな形で共演をしてきているので、意識的にクライマックスを作ろうとか、展開にメリハリを持たせるために相手をコントロールしようといった邪心をもたず、唯々ナチュラルに時間の流れに身を委ねるつもりで共演できた。
新しい会場で演奏でき、集まってくれた初めて出会う方と終演後に語らうひとときももてた。このイベントをもって、コロナ禍で多難だった2020年度(令和2年度)の演奏はすべて終了。 平静な境地で演奏に臨め、後味良い締めくくりが出来た。




写真は、野々山さんの録画と、シンガーソングライターの安藤延晃さんの撮影のもの。