Report:Meg & Eagle Pine Willow@パノニカ

2021年6月19日(土)岐阜市神田町(柳ケ瀬)洋食屋パノニカ

Meg Mazaki(ds) マツダカズヒコ(g)  鷲見雅生(b) 柳川芳命(as)

この洋食屋パノニカは、岐阜市神田町にあるのだが、ここから北へ1ブロック行くと田中カメラという店の2階に神田ギャラリーという貸しギャラリーがあった。昭和55年3月に神田ギャラリーを借りてサックスソロコンサートを自主的に行ったのが、自分の演奏活動のふりだしである。「現代音楽のサキソフォンコンサートです。」という説明で半ば騙して、レンタル料を確認してオーナー(階下の田中カメラの店主)から了承を得た。

後に、柳川はソロしかやらない、ソロに固執している、阿部薫を意識しているに違いない、とか言われたこともあったようだが、共演できる人が周辺に誰もいなかったのでやむなくソロをやったまでで、共演者がいたら一緒に活動を始めたことと思う。ここでは4回ソロコンサートをやらせてもらい、その後、バイオリンのイトウカズヒトさんやデザイナーの犬飼興一さんと知り合って、初めてユニットの形で神田ギャラリーでやらせてもらった。それが昭和57年5月である。以後、当時名古屋にいた大和徳明さん、地挽裕介さんとアルトサックストリオで、アルバートアイラ―の「ゴースト」を演奏したり、南野梓(vl)さんとのデュオ、ガイ(g)さんとのデュオをやったりもした。後にディスロケーションを結成することになる岡崎豊廣(electronics)さん、故・木村富士夫(g)さんとやったこともあった。 このときは木村さんが、直径1メートルほどある金だらいをハンマーで叩きのめすという荒技をやって、オーナーがいぶかしげな表情で会場に上がってきた。「ああ、もうここではやらせてもらえそうもないな」と察し、このライブを最後に神田ギャラリーを借りるのをやめた。

自分にとっては思い出の地である岐阜市神田町で、コロナ禍もたくましく営業しているパノニカで演奏が出来るのは感無量である。8月からは2カ月に一回のペースで、「フリーフォームジャム」と銘打ったセッションをパノニカでやっていこうと思っている。

さて、前置きが長くなったが、この日のメンバーは、Megさんを核に集まった気心知れた4人である。ベースの鷲見さんは久しぶりのライブだという。ベースが新しい5弦のものになっていた。ギターのマツダさんはパノニカ初出演である。Megさんはここが2度目だった(と思う)。

ファーストセットは、Megさんとあとの3人が入れ替わりながらメドレー形式でデュオを行う。Megー柳川、Meg-マツダ、Megー鷲見と高齢者からの順で登場。共演者が入れ替わることで、変化に富んだ世界が映し出されたデュオだった。久しぶりのライブに昔のバンドメンバーが駆けつけてくれたこと、はじめてやる店での演奏、名古屋、知立、岐阜から観客で集まってくれたミュージシャンやパフォーマー、ダンサーを目前に演奏できたことなどで、みなパワフルな演奏だった。

セカンドセットは何も決めず4人の集団即興を行う。ギターのマツダさんとはサマーディーの頃から共演している関係なので、どっちかが表に出ればどっちかが裏に回るという駆け引きが暗黙できるので、ギターがリードするインプロビゼーション、サックスがリードするインプロビゼーションの場面がつくれ、マツダ・柳川それぞれのアプローチの違いから、ベースもドラムも七変化しながらドラマのように演奏が展開。良いコンビネーションだったなと思う。

写真は木全摩子さんが撮ったもの。

今後のパノニカでのライブは以下のとおり。