Report:ちあきひこ / 哲太陽+Meg+柳川@Annie’s CAFE

2021年7月22日(木・海の日) 京都・くいな橋 Annie’s CAFE

・ちあきひこ(gt)

・哲太陽(b) + Meg Mazaki(ds) + 柳川芳命(as)

三部構成で開催した。アニーズからの提案でトリオでの出演が決まり、さて対バンをどうするか?と考えたとき、1月に名古屋でも共演したが、短い時間で社交辞令の挨拶程度の共演に終わっていたちあきひこさんにオファーして、彼のソロのステージと、交流して4人でやるステージを設けようと思った。

第一部は、ちあきひこさんの生ギターのソロ。以前拝聴しとき感じた透明感のあるギターサウンドが、このステージでも心に滲みてきた。聴く者の心の中に情景を描かせるギター詩人であるなあ。小さな音から、強いアタックの音まで、そして空間的な広がりを感じさせる間、余韻・・・、それらがうまく溶け合っていて、心を和ませる。夜空の星を眺めて回想に耽っているような気分だった。

第二部は、哲太陽+Meg Mazaki+柳川のトリオ。先月の6月26日にも酒游舘で演奏した。音響空間が違うと随分印象が変わる。アニーズカフェではサックス用のマイクを立て、ステージで近距離の立ち位置で演奏した。PAを通しての音量・音質のバランスもよく、酒游舘のような残響は無いため、それぞれの音が際立ってタイトに聴こえた。自分としてはこのセットでは、かなりメロディラインを意識して吹いてみた。特に、出だしは恥じらいなく調性に乗って吹いた。だが、そのうちそれもあとの二人のパワーによって崩れ去り、フリーキーなブロウになる。もうこの3人での演奏は5回ぐらいやっただろうか・・・。手加減するとか、様子をうかがうとか無用になり、自分を出し切れる、出し尽くせるような繋がりになってきた。

第三部は、ちあきひこさんが生ギターからテレキャスターに持ち替えて4人で演奏。この組み合わせは初めてである。最初の5分程は、様子を伺いながら、何かを言いかけては反応を見る、というようなもやもやした感じだった。が、しばらくして、ちあきひこさんが自分の居場所をつかみ、徐々に存在感を示し始め、4人で絡み合いながらボルテージの高い演奏になった。ちあきひこさんのボトルネックのギター演奏は(そういえば、自分が共演してきたギタリストの中でここまでボトルネックを多用する人はちあきひこさんが初めてかな・・・。)金属的で切れ味鋭い響きがして挑発的だった。中盤から自然にビートが出てきて、グルーブする集団即興となる。やっているときはハイな心理状態なので、自然体でプレイしている気がしたが、帰ってから録音を聴いてみると、こりゃあ、なかなか激しいわ・・・という印象だった。それにしても、ギタリストの中で即興演奏に軸足を置いていて、自分と共演してくれる人はたくさんいるが、実際に同じステージでやってみると千差万別であるな。台本無しで全即興で臨むだけに、その人のバックグランドにある音楽的嗜好とか聴いて影響されてきた音楽とかが丸裸で出るのだろう。ちあきひこさんはよく歌い、よく語る。説得力あるギタリストだ、という印象を受けた。