2021年7月25日(日)滋賀・近江八幡 酒游舘
・水月<Luna(vo) + 水谷浩章(contrabass)>
・Kaoru(舞)+Meg Mazaki(ds) +柳川芳命(as)
Lunaさんと水谷さんのデュオ『水月』は、大阪、奈良での演奏を終え、近江八幡の酒游舘で関西ミニツアーの最終日を迎えられた。2年前の秋以来の酒游舘での演奏である。2年前には、藤田亮(ds)さんと私とのデュオで、このお二人のユニットと出演した。 (後に、この日の柳川+藤田デュオの演奏は『BURAIHA』というタイトルでCDリリースした。残部少数。)
今回は、酒游舘の広いスペースを生かして、身体表現のKaoruさんとサックスとドラムスというシンプルな編成で出演することにした。この3人の組み合わせは、今年2月に愛知県一宮市の『のこぎり二』というスペースで一度やっており、なかなか手ごたえがあったので、続編として行うことにした。
前回『のこぎり二』のときは、全即興で舞とサックスとドラムスが自由に2ステージやったが、今回はワンステージ30~40分の中で、無音の中での舞、舞とパーカッション、舞とサックス、3人フル出演・・・というようないろいろな場面が生まれるよう、前もって大雑把なシナリオを作って臨んだ。特に無音の中での舞は、息を呑むような緊張感がみなぎっていた思う。Megさんは小物パーカッションの微音からドラムセットでの激音まで、静から動のレンジの広いダイナミックな演奏を行った。リミッターを振り切って暴走する向こう側にある「何ものか」を体現しているようだ。Kaoruさんの舞は、着物と袴を身にまとい一見和的な印象を受けるが、動きの中には、ポイや手旗(?)などを用いた様々なダンスの要素が混じり合っていて、 躍動感あふれる One and Onlyの舞を生み出そうとしてしていると感じた。

続いて『水月』のノーマイクでの演奏。肉声とコントラバスの生音が、元は大きな酒蔵だった酒游舘の空間に響き渡り、ダイレクトに聴き手に伝わってくる。人の声はこんなに豊かだったのか、コントラバスのピチカートはこんなにも力強さを表現するものなのか、と驚かされる。声とコントラバスという質素な組み合わせでも、こんなにも聴きごたえある音楽が出来るのだなあ・・・。2年前に初めて聴いたときも、お二人の演奏の力量には圧倒されたが、今回はそれに加えて曲そのものの魅力を堪能できた。

最後、両ユニットが合同で即興演奏を行う。早く打ち上げに移行したいという思いがあったのだろう、皆しつこさをわきまえ、短めにまとめ上げる。やっている奏者・演者は勿論楽しかったが、お客さんも今日の二本立て上演のカロリー過剰なメニューのデザートとして楽しんでいただけたなら嬉しいことである。

写真は、小松バラバラさん、中嶋貴士さん、堀川務さん、坂田こうじさんが撮影してくださったものから拝借しました。ありがとうございました。