2021年9月5日(日) 名古屋・御器所 なんや
野口UFO義徳(djembe/symbal) 齋藤直子(as) 柳川芳命(as)
「緋連雀」というトリオのユニットで、なんややインテルサットでお馴染みの二人である。今回、UFOさんと齋藤さんのコンビネーションに割り込む形で参加させてもらった。UFOさんとは久しぶりの共演。むしろ齊藤さんとの共演のほうが最近は多い。と言っても2回ぐらいか?
UFOさんのセットは、ジェンベ1つとシンバルが3枚だったかな?きわめてシンプルな打楽器編成である。ドラムセットとは全く世界が違うと思った。ドラムセットは「セット」というだけあって、いろいろな鳴り物がバランスよく配置されているので、装飾的な効果もある。それに両手両足の4つの音を同時に出せる。それに対してUFOさんのセットでは、使うのは両手のみで、デコレーションをそぎ落とし、剥き出し、丸腰、シンプルの極みの演奏スタイルになる。そうなるとビート、パルスの変化の面白さで勝負するしかない。自分もソプラノとかアルトとかクラリネットとか、いろいろな管楽器を並べて、取り換えては吹くというのが向いていなくて、今日はアルトのみ、今日はソプラノのみ、というように選択肢をつくらないやり方がのほうが性に合っている。(それにたくさん楽器を持ち運ぶのはイヤ)なので、こういったシンプルなスタイルでやり抜こうという姿勢に共感する。それにしてもUFOさんのジェンベの打音は、体を射抜かれるような強靭さがある。意志の強さそのもののようだ。
齊藤さんのサックス演奏について、同じくアルト奏者のPUYOさんは、こんなことを書いている。
齋藤さん、ちょっと変わったサックス吹きかな。ゆったりマイペース感があって自然体な感じ。喜びがあふれる音。
なるほど。自然体で即興演奏ができるというは素晴らしいと思う。人を惹きつけようと気負うとかわざとらしく演じるとか、聴かせどころを作ってアピールするとか、そういう作為的なところが演奏行為から見えると、聴いている者は引いてしまう。齊藤さんは溶媒のように共演者の音を溶かし込んで混ぜていく感じかな・・・。そういった「やわらぎ(和らぎ)」のある演奏は、年月を超えて、共演者の個性を超えて、長く新鮮さを保てるような気がする。
そんな、齊藤さんの演奏後の感想は以下のとおり・・・
(前略)1stセットはDUO×3。この2年、一緒に活動してきましたが、野口UFOさんとのDUOは初めて。色々発見があり、今後に繋げたいと思いました。柳川さんとのDUOは、2年ぶり。前回とは全く違うものだったと思います。読み合いや間合いなどは前回の感触を思い出しましたが、サウンドは違う。面白いなぁと思いながら吹きました。柳川さんとUFOさんのDUOは、もっと聴いていたかった!
2ndセットは3人で。「こんな編成は初めて」と柳川さんも仰っていましたが、確かに無いと思います。この編成ならではの面白さと難しさを感じながら吹いていました。コロナ禍により、ライブが延期や中止になり、大先輩と演奏させて頂く機会も激減しているので、今回、柳川さんとご一緒させて頂いた時間は本当に貴重なものです。同じアルトなので、勿論ビビりますが、音圧のかけ方やフレージング等、ライブの場で感じることはとても大切。2年前より貪欲になったなぁと思いました。(以下、省略)
同じ楽器同士のデュオだと、勝ったの負けただのと、どこか張り合うようなところがあって(そういう心の貧しさから脱皮したいのだが・・・)、結果いい音楽になっていないケースがよくある。そういう過ちに陥らないで済むのは、齊藤さんの演奏に臨む姿勢のおかげだろう。

写真撮影は堀川務さん。今回もかぶりつきで聴いていただき、ありがとうございました。