Report : ysm+陽子@パノニカ

2022年1月22日(土) 岐阜神田町 洋食屋パノニカ

・ysm <柳川芳命(as) 鷲見雅生(el-b) 木全摩子(ds)>

・陽子(vo)

ysm で演奏するのは、2018年12月にハックフィンで開催された「Moto-Fes」に出場して以来である。この時はフェスの雰囲気もあってysmの約20分程の演奏もボルテージが高かった。自分としてはこのバンドで出し切ったという印象で、しばらく休んでいるうちにコロナの感染拡大の時期に入り、そのまま長期の休みとなった。ysmという形態で初の演奏会をやったのが、ここパノニカだった。

久しぶりにやるにあたって、ysmの演奏に風穴を空けるような人をゲストにしようと考えたところ、ドラマーの摩子さんが「陽子さんはどう?」という提案をしてくれた。そういえば我々の演奏をよく聴きに来てくれているし、パノニカのフリーフォームジャムにも参加してくれたこともある。パワフル突進型のysmの印象を塗り替えるにふさわしいと、頭の中の電球のフィラメントが輝いた。

当日、まず久しぶりのysmのセットをやり、その後私が抜けて、陽子+鷲見+摩子のトリオ。セカンドステージでは、陽子+柳川のデュオから始まり、鷲見+摩子のデュオに移行、最後に4人でやるというストーリーで演奏した。

ysmでは鷲見さんのベースがやや控え目な印象だったが、良く練られたフレーズのベースラインが、演奏に深みを与えてくれた。摩子さんとは蠍座二人組でアルバムを出したばっかりであるし、パノニカのセッションでも一緒にホストをやっているので気心知れたものである。3人とも力まず自然体のプレイで演奏が柔らかくなった気がした。

陽子さんは日頃ジャズボーカリストとして音楽活動をされているだけあって、フリーな即興で歌っても、ご自分のベースと言うかバックボーンから醸し出されるジャジーなフィーリングが魅力だった。観念的で「奇をてらう」ようなフリーインプロではなくて、その人のアイデンティティーが即興演奏にちゃんと反映しているところがいいな、と思った。おかげでysmのスタイルが鮮やかに変容した演奏会でありました。

後日、こんなことを思いついた。陽子さんの演奏パートナーであるピアノの仁田豊生さん(おふたりでDuo Hipposというユニットをやっておられる)が加わるとどうなるかな、即興組とジャズ組とのパワーバランスがとれて面白いんじゃないかな、と。まだ、誰にも言ってない。仁田さんがどう思われるかわからないし・・・。