Report : Acoustic de Carnival @高槻BIRD

2022年3月6日(日) 11:00~18:30 高槻BIRD

<出演者とプログラム>

■BROWN SUGAR:広池明徳 vocal 中西昌也 guitar  今西啓司 guitar  鈴木則子 piano  戸嶋英城 bass  鈴木泰徳 drums

■井頭月 vocal 山崎圭巳 sax

■猿丸詩摩子 vocal SiMA Beatbox Koji Kose handpan

■山嶋真由美 vocal 鈴木泰徳 drums

■NARUMI vocal 書道パフォーマンス

■曽我部知主恵 vocal 村山義光 guitar

■小柳淳子 vocal 柳川芳命 sax

■林真二郎 vocal 越山満美子 piano

■皇甫純圭 vocal 大谷朝子 piano

■上新友祐 vocal 小野田享子 piano

 大阪の全能ドラマ―鈴木泰徳さん企画のAcoustic de Carnivalは、毎年3月第1日曜に開催されていて、自分が初めて参加したのは2年前の2020年だった。今回の参加は2回目である。(昨年は自分の名古屋でのライブがこの開催日と重なって欠場。)この企画は、気心知れたバディとのアコースティック系デュオでの出演が主で、持ち時間30分のステージ構成は、すべて演者にお任せという、その名のとおりカーニバルである。

 地元大阪のミュージシャンの中、ただ一人中部地区から呼んでいただけていることや、レパートリーを持たずフリー即興しかやらない異物の自分がこの企画に呼んでもらえるのは、鈴木さんの温かい配慮である。その代わり誰とバディを組んで演奏するかは鈴木さんにお任せしている。

 自分が店入りしたのは、山嶋真由美さんと鈴木泰徳さんのデュオをやっていた時間帯で、残念ながらそれ以前のパフォーマンスを参観できなかったが、ヴォーカル+ピアノという形態が今年は多かった。大阪のボーカリストは凄い人がいるな。本当に皆さん圧巻であるし、伴奏のピアニストやギタリストとのコンビネーションが絶妙で、その掛け合いは、いわゆるリズムセクションのいない形態にもかかわらず、とても躍動的で熱く迫力があった。それにエンターテイメント精神が凄いな。

 さて、名古屋のイベントプロデューサー千葉正己さんも絶賛する小柳淳子さんとの初共演デュオであるが、ボーカルとサックスのデュオという単音旋律表現者どうしのフリーな即興は難しい、というかサマになりにくい形態である。振り返ると、さがゆきさん、利根川おちょこさん、今岡友美さん、真都山みどりさん、谷向柚美さん、陽子さん、40年ぐらい前にはハネムーンズの天鼓さんとカムラさん、男性では小松バラバラさん、Blackyさん、あ、映画の中では灰野敬二さんとも・・・と、ジャズ系、即興系を問わず共演した経験はある。が、二人だけの水入らずで30分のステージをやるのは稀有である。

 今回、小柳淳子さんという大御所ジャズボーカリストと、初共演かつノープランで30分フリー即興をやるというのは冒険だったし、小柳さんはもっと冒険だったと思う。即興じゃなくて何か曲をやるなら、小柳さんは見事に歌い上げるだろうが、そういう音楽に縁のない自分はとうていそれは無理。今回は、小柳さんが自分に歩み寄ってくれたわけである。

 最初に12分程度やり、続いて8分、最後に50秒、と3つやった。当然ながら最初の即興は探り合いである。2つ目、3つ目とテイクが進むにつれ、お互いにほぐれてきて、音楽的には不協に聴こえていても、エモーションのレベルでは通じ合えているという手ごたえを得ることができた。小柳さんは、自分のバックボーンであるジャズ的な即興に終始頼らなかった。むしろ自分のほうが、共通言語になるかな?とジャズ的なスケールをちょっと混ぜてみたりしたが、彼女はそれには安易に乗ってこなかった。凄いな、徹してフリーで通したところがチャレンジング魂だと思った。

 サックスの音をマイクで拾ったけれど、音量のバランスを考えたらサックスはノーマイクの生音のほうが良かった。サックスの音大きすぎだった。もうあと30分やれたら、それに両者の音量バランスをチェックして臨めたならば、きっとしまいには爆発するような演奏ができたと思う。また、やってみたい。終わってから小柳さんが、楽しかった、と言ってくれたことが救いだった。

写真はお客様の金子文生さんに撮っていただいたもの。ありがとうございました!