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KUKUを振り返る忘年会

2018年12月18日(火) バレンタインドライブ(名古屋・今池)

臼井康浩さんの声かけで、1987年から2007年まで名古屋栄にあったKUKU(マスターは故・村上等さん 2013.6.27逝去)が名古屋即興シーンで重要な店であったことを再確認し、回想する忘年会が催されている。臼井さんの進行で、古田一晴さん、岡崎豊廣さん、ガイさん、鈴木茂流さんらのトークが行われているようだ。

自分は所用で出席できないけれど、自分の演奏記録を紐解き、いつ頃から誰と出演したのか整理してみることにした。(下表参照)

92年11月3日の大友良英さんのソロに、以前渋谷ジャンジアンの「地と図」で共演したよしみで飛び入りさせてもらったのが、KUKU初出演だった。以後、豊住さん、カンテーファンさん、故・副島輝人さん、大沼志朗さん、故・井上敬三さん、山内テツさんをはじめ、そうそうたる演奏家と共演できる機会を得たのもKUKUであった。バンドとしては、ディスロケーションとサマーディでの出演(当時はその二つしか所属してなかった)が多く、特にサマーディはKUKUで育ったと言っていいバンドだった。また、故・もQさんがこの店に残した功績は大きく、後にKUKUセッションと言われる土壌を築いてくれたし、若い即興演奏者にライブの機会を提供してくれた。勿論、マスターの村上さんのドラマーとしての求心力も大きかった。

当初地下1階にあったKUKUは、名古屋を襲った台風(何年だったかな?)のせいで、洪水が流れ込み、復旧が大変だったと聞いている。その後、いったんKUKUは閉店したが、村上さんの執念で同じ栄にあるビルの?階に、新しいKUKUができた。このころから自分は徐々にKUKUから遠のいてしまったが、即興セッションが盛り上がっていたと聞く。最後の閉店記念ライブ(2007年10月21日)には幸運にも出演させてもらった。

92年~07年までの16年間(小生36歳から51歳まで)出演回数52回。KUKUがあったから多くの演奏者と知り合え、今でも活動ができていると思う。本当にありがたいスペースだった。

KUKU演奏記録_000001

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Review:あかぎしほ+柳川芳命@燈門

2018年12月16日(日) ミュージックスポット燈門(大阪市・瓦町)

あかぎしほ(pf)     柳川芳命(as)

ファーストセット:30分、セカンドセット:35分

この共演を仕組んだのは、燈門のマスターでシャンソン歌手でもある岸田浩一さんである。岸田さんとは、みのやホールのオーナーをやっていた97年に知り合い、その後、レッドライオンのオーナーをやっていた99年にもお世話になっている。近年、中崎町の創徳庵を経営していたときに、岸田さんもメンバーの一人である「リリカルバンビ」と共演し、その縁で俊山晶子さんのアルバムに参加、三上寛さんとの共演や鈴木泰徳さんとの共演へ・・・と、関係が広がっていった。誠にありがたい人である。創徳庵が閉鎖した後、彼が新たにオーナーを務めている燈門に出演するのはこれが初めてで、あかぎしほさんと出会うのも共演するのも初めてのことである。これまで岸田さんがコーディネイトしてくれた初対面セッションは、どれも緊張を伴うが面白く刺激的だった。

あかぎしほさんの演奏は、名古屋のバレンタインドライブでの彼女のユニットのライブ動画を見ただけで、ジャズピアニストというイメージが強かった。(そのイメージは演奏を始めてから変わったが・・・)どんな演奏をされるのか予想はできなかった。当日、店に入ってからリハーサルも何もやらず、本番まで彼女はピアノから1音も出さなかった。

ファーストセットで初めて音による交感が始まった。透明な結晶が躍るようなイメージの演奏で、情感がダイレクトに伝わってくる。気まぐれに移り変わるサックスの奇妙なメロディーを、その都度美しく彩ってもらえた、という感がある。即興演奏は、ストーリーもセリフも決まってない芝居のようなものなので、その人がこれまで生きてきた中で感銘を受けた音楽とか、音への嗜好性とか、音楽に対する考え方とか、どんな音楽をやりたいのか、という本心が剥き出しのかたちで表れるものだと思う。そういう本心を感じ合うのが面白いので自分は即興演奏ばかりやっている(と言うか、すでに書かれた音楽を再現する演奏技術がない)。

初めて出会う人と即興演奏をしてみるということは、相手に対する尊重とか、自分の素直な開示とかが大事なんだろうなと思う。この日はお互いに反応し合って美しく抒情的な音楽が生まれた。美し過ぎたかな?と思えるほど。けれどそのことを「良かった」と互いに感じ合えたことは何よりの成果だったと思う。

ふたりともファーストセットのとき録音機を作動させるのを忘れた。緊張していたのだろうか?悔やまれる。

デュオ1

 

Review:野道+柳川 / ラビリロイ@なんや

2018年12月14日(金)   なんや(名古屋・御器所)

<ラビリロイ>の名古屋巡業2夜目は、なんやで予定していた野道幸次さんと柳川のデュオとのジョイントという形で行った。巷は忘年会真っ盛りの金曜の夜。お客さんにギターの小林雅典さん、トランペットの長坂均さんの顔も見られ、ギタリスト同士、トランぺッター同士の出会いもあって良かった。

野道さんとの共演歴はもう4~5年になるが、デュオでなんやでやるのは2回目である。お客さん無視して好き放題吹きまくるという傍若無人デュオ。この日のデュオは、静と動、柔と剛、疎と密、清と濁、加速と減速、弛緩と緊張、「じらし」と「せかし」・・・・といったコントラストある駆け引きが面白かった。後半はお互い全力疾走というか、アクロバティックな技の応酬といった感じ。爽快な30分一本勝負であった。

<以下、なんやの店主のPUYOさんのコメントを拝借>

なんや昨日のライブ ラビリロイ / 野道幸次+柳川芳命
ラビリロイ、ギターのルイ君とトランペットとバスクラリネットを持ち替えるラビ君のユニット。金管と木管の両方を吹く人は極めて珍しい。聞いてみたら、結構大変らしい。この二人、演奏に無駄な音がない。音に思いがこもっているんだろうね。緊張感のある、どっしりした演奏。続く野道君と柳川さんの演奏は、野道くんのテナーサックスが朗々としていて心地よい。柳川さん、お互いの駆け引きから離れた時、爆発的なソロをした。印象的だった。最後に4人での演奏。4人の音が、それぞれ出過ぎず、調和が保たれていて、良く聞こえて、しっかり聞けて、楽しかった。

いつも温かいコメントありがとうございます。明日への糧とします。

セッションなんや

 

Review:ラビリロイ+柳川@海月の詩

2018年12月13日(木) 海月の詩(名古屋・今池)

今月2日に神戸のBig Appleで、対バンとして共演した有本羅人さんとルイリロイさんのデュオ<ラビリロイ>を名古屋に招く。

集客の雲行き怪しい中、オンタイムで8時にスタート。たとえお客さんがいなくてもこの3人でやることに大きな期待感が自分にはあった。ワンセット目はとりあえず3人でやってみる。セカンドセットは3パターンのデュオ場面ができるようにして最後にトリオになる、という流れで行う。結果的にどちらも40~50分ぐらいの尺になった。徐々にお客さんが来てくれて、大阪、神戸から名古屋に招いた立場として、少しは面子が立った。

二人の演奏はすでにBig Appleで聴いているのでイメージはできていたが、一緒にやってみて改めて思ったことは、二人とも反応が恐ろしく速い。反応というより反射か?もっと言うなら次のサウンドシーンを先読みして、サウンドシーンの模様替えするような音をタイムリーに提示してくるのである。なので演奏の展開によどみがない。またあえて「よどみの場面」をつくりだすワザも心得ているようで、とにかくいつまででも演奏が続きそうな感じであった。

また、サウンドシーンの場面転換も、3人のうちの誰かが「もうそろそろつぎの場面に行こうか?」と音で言い出すタイミングが絶妙であった。こういうのを波長が合うと言うのだろうか。同じ場面からなかなか動かない波長の人、消化不良のまま次々といろいろなことをやりだす波長の人、いろいろその人によってこの転換のタイミングに個性があるが、この日の3人においては、その波長がうまく合っていたように思う。

このトリオ、<ラビ(ヤナ)リロイ>(ミドルネームに入れて欲しい)またどこかでやりたいものである。

20181213ラビリロイ海月

 

 

Review:冬の夜の怪談と即興音楽@TOKUZO

2018年12月10日(月)TOKUZO(名古屋・今池)

(演目)仮名手本忠臣蔵~四谷怪談~仮名手本忠臣蔵

(出演)語りと三味線:平松千恵子   即興囃子:柳川芳命(as)   Meg Mazaki(ds/per)

この夏に行った「怪談と即興音楽」では、小泉八雲の「Kwaidan」をメインに、怪談の語りにインプロヴィゼーションを絡ませるという初めての試みに挑んだ。今回、忠臣蔵の討入りの季節を迎え、「仮名手本忠臣蔵」と、この話のサブストーリーである「四谷怪談」を組み合わせて上演した。夏の怪談が、比較的シンプルな展開で、登場人物も絞られた短編であったのに対して、忠臣蔵も四谷怪談も、ストーリーの展開、人物相関、人物の心理も複雑である。その上、2パートに分けてもそれぞれが約1時間と言う長編である。演ずる側も視聴する側もかなりの集中力を要する。しかしながら、平松千恵子さんの語りは、(ストーリーが分かろうが分かるまいが)とにもかくにも、その物語の世界に聴衆を惹き込んでいく技と気迫が漲っていた。

即興囃子のほうは、全部で37場面(各場面は1秒程度から長くて1分程)音を入れる箇所をあらかじめ決めておいた。(本番では予定にない場面でも演奏したが、予定にないことを本番でやっても許し合う寛容さを我々は備えている。)人が斬られる場面、驚愕する場面、怨念が湧き出す場面など人物の喜怒哀楽が剥き出しなる場面での音、時間の推移のなかで情景を描写する音・・・など、夏の怪談のときよりもそのニュアンスは多様である。まともなリハは当日の開演前だけ(しかもスキップしまくり)だったので、どんな音を出してくるかは直前までお互い分からずにいたし、本番はリハとは異なることをやることは常である。Megさんの演奏は、感情が暴発する場面でも、ぐっと押し殺す場面でも、緊張感を高める「間」が生かされていた。そういう息を呑む場面の情景や人物の心理を、うまく打楽器で表現していたと思うし、改めて和的なドラマ―であることを実感した。

情念のサックスといって真っ先に思い浮かぶのは高木元輝氏である。高木氏が生きていて、こういう場でテナーを吹いたなら(たぶんやりたがらないと思うが・・・)どんな感じになるだろうと、ふと録音を聴き返して思った。自分の演奏を聴き返していて「アイソレーション」の雰囲気が脳裏をよぎった。若い頃レコードでよく聴いたので、どこかで刷り込まれ影響を受けていたのかもしれない。

即興演奏と言っても、ストーリーにそってそのイメージを音にするので、日頃やっている即興演奏とはずいぶん勝手が違う。その場面場面に合うような演奏は一通りではないわけで、そのあたりの選択の自由はもちろんあるが、「この場面でこの音か・・・なるほどな。」と思ってもらえるようになるにはまだまだ精進しないといけないな。単に恐怖の場面で「ギャーッ」っと吹くばかりでは単純すぎる。と、反省しつつ、今年の怪談シリーズの幕は降りた。

忠臣蔵

 

 

 

Review:木全摩子+柳川芳命@GHOST V

2018年12月7日(金)Jazz GHOST V(岐阜市長住町)

2016年4月に初めてスタジオでデュオをやったときの録音、その年の8月末に「なんや」(名古屋御器所)でやったデュオの録音、それらと聴き比べてみると、今回のゴーストVでのデュオはずいぶん変容していることがわかる。その間、「ysm」(柳川・鷲見・摩子)で3年近く共演し、最近では渡辺敦(ts)氏との「天元」での共演を経ていることや、マツダカズヒコ(gt)氏とのデュオ「せーまん どーまん」での活動、野道幸次(ts)氏とのセッションなど、木全さんの共演の幅が広がったせいもあるだろう。

いっしょにスタジオでやり始めた頃の木全さんのドラムは、サックスの伴奏という感じで、終始向かい合って、格闘技のような直接的な反応で突撃していく感じだった。その勢いに押されてこちらも負けじと吹く、というデュオだった。が、今回の演奏では、適度な距離を置いて「自分の演奏」を展開しているという感じを受けた。そのことでお互いに息苦しさがなく、互いに自由になれるデュオになった気がする。それは共演者の演奏を聴いてないということではなく、反応の仕方が昔と変わってきたということだろうと思う。相手を好きなようにさせるという反応もあっていい。前半のステージは、27分のデュオと5分のデュオ、後半のステージも同じような時間配分で合計4曲。落語で言うなら長短2話ずつである。パワー一辺倒でやってきた頃は15分~20分で終わるデュオが、長短いずれでも組み立てられるようになったとも言える。

※写真はゴーストVの黒田オーナー(モノクロ)とお客さんで来てくれた藤井さん(カラー)、いつもありがとうございます。

2018-12-08

 

 

Review:哲太陽+Meg+柳川/ラビリロイ@Big Apple(神戸)

2018年12月2日(日)Big Apple(神戸市中央区)

◆哲太陽/el-b+Meg Mazaki/ds+ 柳川芳命/as

◆ラビリロイ<有本羅人/tp,b-cl+ルイリロイ/g>

神戸のビッグアップルに初めて行ったのは92年頃。出張に行った夜の自由行動のときに、どんなライブハウスか見てみようと店に入った。自分のソロのファーストCDを名刺代わりに店に置いてきた。次に行ったのは、99年の夏に国近正志/dsさんとのデュオツアー(ツアーと言っても、姫路の「ライラ」、「ビッグアップル」、大阪の「レッドライオン」の3か所だけ。)のときである。そして、今年の7月に向井千恵さん主宰の<Perspective Emotion>の参加で訪れた。20年ぶりで懐かしかった。マスターが覚えていてくれたのも嬉しいことだった。

神戸には<彗星ミトコンドリア>のベーシスト哲太陽さんが住んでいる。哲太陽さんとは、今年7月に「海月の詩」で開催された<時の隙間>のイベントで、哲太陽+Megのデュオに飛び入りして、なかなかの手ごたえ得たので、続編をじっくりやりたいと思っていた。哲太陽さんの地元のビッグアップルを押さえ、関西で対バンで出てもらえるユニットは無いかと考えた。ルイリロイさんがこの店でもよくやっている様子なのでお願いしたところ、<ラビリロイ>として出演を快諾してもらえた。という次第でこの演奏会が実現したのである。

哲太陽さんがたくさんのお客さんを呼んでくれたので、最初に有本羅人さん(初対面)とルイリロイさんのデュオ<ラビリロイ>に出演していただいた。ふたりそれぞれの「音のパレット」には何種類かの絵の具が用意されていて、適時に色を選び、並べ合い、重ね合いながら、音の断片の万華鏡、旋律のタペストリー、ノイジーなアマルガム・・・と、多彩なサウンドシーンを生み出した。東の<長谷川静男>、西の<ラビリロイ>は、注目すべき即興デュオチームである。

ラビリロイ

哲太陽さんのベースは、フットペダルを踏むと、ベースのブリッジあたりについているハンマーがベース弦を叩く仕組みになっている。4つのペダルと4本の弦を叩く4つのハンマーの動きが対応しており、それはピアノの構造に等しい。ハンマーで叩き出されるベースの音は、強く、重く、暗く響き、それがエフェクターによって様々な響きに変貌し、低音域を包み込む。そのオリジナリティーもさることながら、醸し出される音楽そのものが重厚で荘厳である。重厚さや暗さを体現する「剛」のMegさんのドラムとは相性がいいと思った。3人の演奏は35分程一曲を通して行ったのだが、開始5分程でタムのヘッドが破れたそうで、Megさんにとっては不本意な残り30分となったに違いない。またどこかでこの3人でやりたいものである。

2018-12-04

最後に25分程、合同セッションを行った。管2本、ギター、ベース、ドラムという編成なので、音の洪水の中でもそれぞれの音はくっきり浮き上がり、誰が何をしようとしているのはよく聴き取れた。常識的な演奏時間と体力消耗がなければ、いつまででも演奏は続いたに違いない。5人の音が途切れたときを見逃さず「ありがとうございました」と挨拶し、演奏を切り上げた。

BigAppleライブ告知ボード