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Review:柳川芳命ソロ@スキヴィアス

2019年4月19日(金) 特殊音楽バー・スキヴィアス(名古屋 納屋橋)

・柳川芳命(as)ソロ

※2nd stage 参加者:長坂均(tp)小林雅典(g) ガイ(ブズーキ・g)稲葉一将(ts)

演奏を始めた20代半ばの1980年頃は、共演者が身近にいないという状況のため、ギャラリーを借りてソロの自主コンサートを数回やった。また、2009年から2016年までカルヴァドスで続けたシリーズ『地と図』では、ときどき共演者の人選に行き詰って、ソロ+セッションという形でやったことがある。しかし、それ以後、「ソロ」と銘打っての演奏会はやってこなかった。それだけ今は共演者が豊富にいて、自分の周りに一緒にやってみたい人が満ちているという恵まれた環境にあるといえる。さらに、レギュラー化して継続的に行っているユニットもいくつかあって、そこでの共演の積み重ねからの収穫は大きい。今は自分にとっていい時代である。

たまにはソロでやってみる必要が自分にあるかな、共演者の力を借りず独力で聴いてくれる人たちに何かを与えられる演奏ができるんだろうか、という自己点検をしないといけない。そういう考えもあって、今年に入ってソロの機会を増やそうと思っている。場所はソロにふさわしいスペースということで、納屋橋にある「スキヴィアス」を選んだ。偶然にもこの4月19日は5年前に初めてこの店で演奏した日であった。

ソロで全編やるという手もあるが、あまり閉鎖的にならないように、セカンドステージからはセッションができるようなオープンなかたちにした。幸いにも上記の4人の方が参加してくれた。中でもしばらく演奏をやめていた稲葉一将さんが、かつてのような豪放なテナーの音で参加してくれたことは喜ばしいことだった。今後、また活動を始めてほしい。

さて、自分の演奏についてであるが、当日このところ酷使しているセルマーMark Ⅶの調子を見てもらおうと管楽器修理の店に持っていったところ、やはり預けて修理してもらう必要があるとのことで、セカンドのマルカートのゴールドプレートを使うことになった。預かり修理になる可能性も視野に入れて、この日は2本車に積んでいた。

マルカートのGPはしばらく吹いてない楽器だったのと、演奏を始めてちょっとしたらタンギングでリードの先端が欠けたため、音づくりにちょっと手こずった。共演者がいれば演奏中リードの取り換えはすぐできるのだが、ソロではそうはいかない。演奏を始めて18分経過してやっと「止めどき」が来たので、演奏を中断してリードを交換。そのあと11分ほど吹いてソロは終了。セカンドステージのジャムセッション後、ソロに納得いかなかったので、蛇足かと思ったが5分ほど吹く。

ソロは共演者を待たなくても一人で自在に演奏を展開していけるという利点がある。しかし、やっているうちにふと、「これを聴いている人は退屈していないか?」「しつこいと感じているのではないか?」「もっと刺激が欲しいと思ているのではないか?」「うるさいと思っているのではないか?」などなど、考えてしまう。スタジオで一人でやるソロとの違いはそこである。自分一人の世界に没頭していられるわけではない。疑心暗鬼になり、結果ああでもない、こうでもないと散漫な演奏に終わったり同じことを何度も繰り返してしまったりするような展開になってしまうことがある。

ソロはやはり厳しい。厳しいのであえてこの夏に、また同じようなプログラムでソロをやることにした。今回は演奏中の写真はないのでフライヤーを掲載。

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20190419スキヴィアスソロ

 

 

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Review:森順治・雨宮拓 in 岐阜・名古屋

森順治さんの「春の岐阜・名古屋3Nights」の企画に、雨宮拓さんの急遽合流が決まる。お二人はご存知M☆A☆S☆Hのメンバーとして、東京界隈で活躍中である。めったに中部圏に来てライブをすることがなかったので、今回の岐阜と名古屋での3回のライブは、地元の演奏者たちとの貴重な出会いになった。3日間を通して共演できた地元の演者やリスナー、ライブハウスは限られていたが、これを契機に交流が広がることを願っている。次回はドラムの大沼志朗さんも一緒にM☆A☆S☆Hでの演奏をこちらで披露してほしいものである。

■2019年4月12日(金)jazz GHOST V(岐阜市長住町)

1 丸市+新井田文悟+柳川芳命

2 森順治+雨宮拓+新井田文悟

3 雨宮拓+柳川芳命+丸市

4 森順治+新井田文悟+丸市

5 森順治+雨宮拓+柳川芳命

6 森順治+雨宮拓+柳川芳命+新井田文悟+丸市

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3日間のライブのうち、唯一ドラマ―入りの編成。ドライブ感、疾走感のある演奏になって、やっていてフリージャズの醍醐味が存分に味わえた。初共演にもかかわらず丸市さんもメンバー相互との以心伝心が見事で、演奏のヒートアップの核となっていた。

■2019年4月13日(土) なんや(名古屋御器所)

1 雨宮拓+森順治+臼井康浩

2 森順治+PUYO+柳川芳命(アルトサミット)

3 雨宮拓+臼井康浩+柳川芳命

4 森順治+雨宮拓+PUYO

5 森順治+雨宮拓+PUYO+臼井康浩+柳川芳命

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なんやの店主PUYOさんと続けているアルトサックスのみでトリオで演奏する「アルトサミット」を兼ねたセッション。3人のアルトによる咆哮、ぼやき、唄い合い・・・は、あたかも「万華鏡を覗いているようだ」とはG子さんの感想。PUYOさんは、もうただの居酒屋の店主ではない熟練サックス吹きである。この日、雨宮さんは持参の電子ピアノでの演奏。ピアノと違った様々な音色にイマジネーションが広がる。とても清廉な音色にファンタジーの世界に引き込まれたときがあった。百戦錬磨の臼井さんは、ときに助演、ときに主演となって絶妙な喰いこみ方をしていた。エフェクターに依存しないで、エレクトリックギターそのものから様々な音を引き出す奏法がミラクルである。

■2019年4月14日(日)海月の詩(名古屋今池)

1 Take-Bow+柳川芳命

2 森順治+雨宮拓

3 森順治+雨宮拓+Take-Bow+柳川芳命

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セッション参加者やリスナーも多く集まり、最終日はにぎやかなライブとなる。久々に共演するTake-Bowさんとはじっくりと向き合いながら一緒に疾走できた。終わった後すがすがしかったな。森さんと雨宮さんの演奏に、「お二人のお名前は知っているけれど生で接するのは初めてだ」という名古屋の即興ファンに、デュオでしっかりと聴いていただけて良かった。終わった後の大きな拍手・歓声は、その練り上げられたコンビネーションの凄さを表していた。

●ジャムセッションⅠ ホスト:雨宮拓、柳川芳命

Kani Kiyoshi 新井田文悟

●ジャムセッションⅡ ホスト:森順治、Take-Bow

アカノシバヒト 小林雅典 新井田文悟

番外セッションには観音玉藤井 タナカえん 後藤宏光 はじめ、ほぼ全員で

〆は、雨宮拓ピアノソロ

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アフターセッションには初日で共演した新井田さん、はるばる三重からアカノさん、小林さんも来てくれてしっかりと爪痕を残してくれた。セッションを重ねるにつれ末恐ろしいアルト奏者になるKaniさん。終演後駆けつけて咆哮してくれた藤井さん。海月の詩では欠かせない身体パフォーマーの後藤さん、えんさん。参加ありがとうございました。

さて、この日のラインナップで重要な存在となるはずであったMeg Mazakiさんは、残念ながら今回も椎間板ヘルニアの完治間に合わず参加できなかった。彼女の不在はとても残念だったので復帰後にまた一緒にやりたいものである。上の写真の右下はMegさんの完治を願っての心温まる激励の色紙である。

Review:柳川ソロ+平松千恵子「四谷怪談」@海月の詩

2019年4月5日(金)海月の詩(名古屋今池)

・柳川芳命(alto-sax)     ・平松千恵子(語り)

当初この演奏会は、CD『四谷怪談』のリリース記念として、Meg Mazaki(ds)さんと私とのデュオで行う予定だったが、Megさんが3月中旬から椎間板ヘルニアの治療のため出演できなくなり、ピンチヒッターとして平松千恵子さんに四谷怪談の語り手として出演してもらい、演奏は私のソロで行うことになった。

今回は、次のような流れで二部構成で演じることにした。

第1部:プロローグ→サックスソロ#1→四谷怪談part 1 →サックスソロ#2

第2部:四谷怪談part 2 →サックスソロ#3→四谷怪談part 3 →サックスソロ#4

語りとサックスソロとは分割して行い、語りのバックで演奏するということは行わなかった。ソロはソロでストーリーから独立したものとして演奏してみようと思っていたが、やり始めるとそうはいかない。平松さんの語りに、会場の空気は凄まじいシーンと人物の激情に染まり、サックス演奏もその影響を受けないでおられようはずがない。結果として、それが演奏のモチーフとなり、4回行ったサックスの即興演奏は、それぞれ異なった趣きとなって良かったと言える。

さて、改めて思ったことは、サックスは所詮単音の旋律楽器であるので、いろいろな奏法を駆使してはみるが、旋律による即興演奏からは逃れられない、ということである。そうなると無調であったり多調であったりしながらも、どこか長調や短調の旋律に支配されてしまう。まあ、それは自分に染みついてしまった「音のつながりの心地よさ」なのだから、あえて否定することはなく、必要であればそれらを使って演奏すればいいことだろうと思っている。

メロディ吹くのもダメ、リズムを刻むのもダメ、いわゆる音楽的な要素を持ち込むのはダメ・・・と、「禁止」ばかりでも不自由なことである。<自分が生まれてからこれまでに聴いてきて心動かされた音楽が、その人の即興のオリジナリティーをつくる源泉>だと思っている。そうでなければ「その人固有の演奏」というもの(アイデンティティー?)が無くなってしまい、どこの誰でもいい人の演奏になってしまう。そこまでの領域に踏み込んでしまうのもどうかなあ? やはり演奏の向こう側の人間性みたいなものが感じられない音楽はどうかな?と思う自分がいる。保守反動的だろうか?

毎回同じフレーズが出てきてしまうことに嫌気がささないように、やっている自分が驚くような新鮮な演奏がしたい。それに「これが私の演奏での聴かせどころ、決め技でございます」と開き直ってしまうのは<芸>を披露するようで気恥ずかしい。なので飽きもせずこうして40年も即興演奏ばかり続けているのであろう。

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Review:立花秀輝ツアー名古屋・岐阜

◆2019年3月28日(木)なんや(名古屋・御器所)

ゲスト:石渡岬(tp) 柳川芳命(as) セッション参加:PUYO(as)

◆2019年3月29日(金)jazz GHOST V(岐阜・長住町)

ゲスト:木全摩子(ds) 柳川芳命(as) セッション参加:渡辺敦(ts) 近藤久峰(ds)

立花さんの9日間に亘るソロ&セッション・ツアーの終盤8日目(なんや)と最終日9日目(ゴーストV)に、ゲストで共演。実は以前から、石渡岬さんには立花さんと私との共演のコーディネートを試みてもらっていたのだが、あいにく都合が合わず、ずっと見送りの状態だった。それが今回ようやく共演できる機会を得たのである。

立花さんは言わずと知れた「渋さ知らズオーケストラ」のメインリード奏者で活躍。すでにこのグループでの在籍は17年になるという。悟空さんとの「人間凶器」での活躍など、アルト奏者として注目の存在である。今回のツアーは立花さんのソロと各地の奏者とのセッションという形で行われたわけだが、9日間連続してアルトサックスソロを持続させることを考えるだけでも、彼の精神的な持久力が凄いと思う。1本のアルトサックスから引き出せる限りの音を様々な奏法を駆使して絞り出していくパフォーマンスは圧巻である。通常の吹き方の枠を超えての奏法は、フリー系の奏者ならいろいろな試みをしてきたと思う。しかしながら、立花さんにあっては、そういったフリークトーンにも聴き手を魅了するだけのものをもたせ、驚きと痛快感を与えるレベルにまで極めている。

なんやとゴーストVの2夜ともに、立花さんのソロ、ゲストのソロ、立花さんとゲストのトリオ、参加者とのインプロ・ジャム、というステージングで展開した。自分もアルトソロでやらせてもらえたことはいい機会だった。このところソロをやることが少なくなり、今年から積極的にソロをやりたいと思っていたところなので・・・。同じアルトサックスでのソロということで、初日のなんやでは立花さんの演奏を意識した感があって、結果として良かった点も良くなかった点もあった(自己評価)。2日目のゴーストは、立花さんのソロ、木全さんのドラムソロのあとでの出番だったので、その流れを受けての吹奏を意識した。それに「フリーであらねばならない」「アバンギャルドであらねばならない」「完全即興であらねばならない」という、「ねばならない意識」を払拭して吹奏することにした。

さて、なんやでのもう一人のゲスト、石渡岬さんのトランペットは、抒情的な部分と、アクセルを踏み込んでボルテージがピークに達したときの炸裂的な部分との振幅が魅力である。この日のここぞという瞬間で見せる炸裂の凄味が快感だった。

ゴーストVでのゲスト、木全摩子さんのドラムソロは、ストーリー性を感じる展開が面白かった。乾いた情景が目に浮かぶドラム演奏だった。初共演する立花さんと、日頃共演が多い私とのツイン・アルトにどう絡むかはチャレンジだったと思う。しかし、終始真摯に向き合って叩いていたという好印象を受けた。

トリオ

tachibana Misaki Yanagawa Puyo

 

 

 

 

Review:サマーディ/勅使河原富江ノ欲情

2019年3月22日(金) なんや(名古屋・御器所)

◇サマーディ <鈴木茂流(b)、マツダカズヒコ(g)、柳川芳命(sax)>

◇勅使河原富江ノ欲情 <近坂祐吾(ds/sampler)、中野恭子(fl)>

「サマーディ」はこのところ、丸市さん、Meg MAZAKIさん、野々山玲子さんといったドラマーを加えた形態での演奏が多かった。また、後藤宏光さんのパフォーマンスとの共演も数回行ってきた。今回は、オリジナルの3人のみで演奏。「勅使河原富江ノ欲情」との2本立てでのライブである。マツダ・近坂ラインは以前からの共演歴も長い。また、マツダ・近坂・柳川は「此の四人」というユニットのメンバーでもあるので、やや近親相関的な組み合わせと言える。「勅使河原富江ノ欲情」は今回のライブで改めて命名されたユニットであるが、近坂・中野の二人に私を含めた3人ですでに昨年3月末に共演を始めている。

ところで「トミエ」という名前からは、レトロな日本女性を想起するが、そういえば太宰治が玉川上水で心中した相手の女性が山崎富栄(ヤマザキトミエ)だったことを思い出した。どこか薄幸で一途に思い詰める献身的な女性像をイメージしてしまうのだが、近坂さんと中野さんの演奏は、そういったウエット感はなく、ストーリー性のある文学的な演奏というより、非連続的・分裂気質的な抽象絵画のスライドショーを見ているように思えた。スイング感、ドライブ感といったいわゆる「ノリのある」リズムをあえて排した脱構築型のドラムに、リリカルな響きのフルートが絡むことの逆説的な調和が面白い。

ドラムレスのサマーディの演奏は、幻想的、幻覚的、瞑想的・・・そんな風味が漂っていた。ドラムが入らないことでタイム感覚が拡散していくようだ。演奏の流れに「よどみ」や「這いまわり」が起きて聴いている人にとって退屈ではないか?という懸念を演奏中もっていたが、録音を聴き返してみたらさほど退屈ではなかった。あからさまに反応し合ってクライマックスを作っていくのを3人とも避けているためか?と個人的には思っているのだが、鈴木氏、マツダ氏はどう思っているかはわからない。(レギュラーメンバーではない)ドラマ―が入ることで、実はそのドラマ―が3人のまとめ役になっていたのだろうか?などとも考えてしまう。とにかく私にとって、サマーディは長年やっていても不可解な要素のあるユニットである。

最後に合同で約20分程演奏した。5人揃うとなかなか面白い展開になる。例えて言うなら、ロック風味をベースにしたスープに、意外性のある組み合わせの具が入り混ざったエキセントリックな料理のようだ。美味いか、不味いか、その感想はオーディエンスさまざまだろう。

プレゼンテーション1

 

 

Review:SHANTI DRAGON3+Heal Roughly

2019年3月16日(土) 横浜JAZZ FIRST

SHANTI DRAGON 3 <金剛督(sax)  林あけみ(pf) 小泉ちづこ(バリ舞踏)>

Heal Roughly<柳川芳命(sax)+Meg MAZAKI(ds)>

※都合によりMeg MAZAKI不参加

昨年、酒游舘で開催されたSHANTI DRAGONのライブの際に、対バンのメンバーだったMegさんが、金剛さん・林さん・小泉さんたちと懇意になったことがきっかけで、今回の横浜でのライブが決まった。金剛さんが横浜の老舗ジャズライブハウス(創立51周年になるらしい)を押さえてくださった。Heal Roughlyとしても初めての横浜ライブだけに期待感が大きかったが、残念ながら直前になりMegさんが腰痛治療のため不参加となった。Megさんの演奏を期待していた関東のお客さんもがっかりした模様。全身を使って演奏するドラマ―であるがゆえに、椎間板ヘルニアではとうていまともに演奏はできまい。本人にとって無念だったと思うが、またの機会を作ることにして今回はドクターストップ。養生に専念してもらうことにした。

自分にはめずらしく長めの自己紹介とMegさんの欠席報告をして、ソロで20分演奏。(自慢ではないが、私は予定時間にほぼ正確に演奏を終えることができる)途中、小泉ちづこさんの舞と声が絡み、初対面~初共演ながらなかなか波長の合ったデュオが出来た。鮮やかなバリ舞踏と、陰鬱なサックス演奏とが化合して、面白い風味が出たのではないかな?

そのあと、SHANTI DRAGON 3の演奏。金剛さんのソプラノサックスの音が、林さんのピアノの大海原の上を、しなやかで奔放な軌跡を描きながら飛翔している光景が浮かんだ。

休憩の後、小泉さんのバースデイ記念のソロ。8分程の無音の中で、指先からつま先までのやわらかな動きに視覚が釘付けになる。最後に全員での交流セッション。金剛さんのテナーと私のアルトとのデュオから始める。二人のサックスの音の距離感がいい。あからさまに音を重ね合うでもなく、対峙するでもなく、互いの自由な発想を認め合いながら対置し、時空を共有できた気がする。そこに林さんのピアノが入って色彩が一層豊かになり、抒情的な感性にアルトはすぐに飛びついてしまう。少し違う次元でテナーがフリーキーに咆哮する場面では、同じ血が流れているのではないかと思うほど意気投合できている実感があった。それにしても、金剛さんは後半になるにつけボルテージが高まり、同時に「殺し文句」ならぬ「殺しフレーズ」がほとばしり出る。すばらしい奏者だな。

とても充実感ある演奏会であったがゆえに、Megさんの不在が惜しまれる。必ずやリベンジセッションがいつか企画されると思うので、その時を楽しみに待つことにしよう。

「四谷怪談」と「Heal Roughly」の1stアルバム、多くの方に買っていただき、ありがとうございました。

 

 

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Review:天元(with近藤久峰)@GHOST V

2019年3月9日(土) jazz GHOST V(岐阜市 長住町)

渡辺敦(ts)    柳川芳命(as)   近藤久峰(ds)

※天元はプラスティックなメンバー編成による「即興音楽旅団」で、前回は木全摩子さんがドラマ―で参加しています。

天元の主宰である渡辺敦さんとは、これが3回目(カラオケボックスでのリハーサルセッションを入れると5回目)になる。ジャズサックス奏者としてのステイタスをもっている方であるが、ジャズに傾倒し始めた頃には山下洋輔トリオとかのフリージャズも吸収しており、1年ちょっと前に私やysmとの出会いによって、パンドラの匣にしまっておいたフリージャズのイメージが暴発し、一気にフリーインプロの世界にもなだれ込んできた、という方である。わずか3回目の演奏会にして、(いわゆる)ジャズイディオムを加速度的に破壊し、自由奔放にブロウしているのは、若い頃のフリージャズの洗礼があってのことだろう。しかしながら、ジャズの持つソフィスティケイトされた美学も持ち合わせておられるので、アルトと合わせて吹いていると、ときに幽玄、ときに牧歌的なハーモニーが偶然のように生まれ、心地よく酔えるときがある。その音色やフレーズ、アーティキュレーションからは、泥臭く粗暴でフリーキーなテナーとは一味違う香りがする。

2ステージ目の途中、渡辺さんと近藤さんのデュオになったとき、近藤さんのドラムの陰にラシッドアリが潜んでいるような感じがした。近藤さん自身ラシッドアリに傾倒しているところもあるそうなので、渡辺・近藤ラインから後期コルトレーンの音楽(「惑星空間」)を連想したのもうなずける。

近藤さんと少人数で共演するのは本当に久しぶりである。96年に今はもう無くなったKUKU(名古屋 栄)で近藤さんと会ったとき、自分は40歳、彼は20代前半だった。若いのにやたらと60年代のフリージャズや70年代のロフトジャズに詳しく、ドラムのテクニックもあったので、気に入って何回か共演した。その後のライブでの共演回数は少ないが、97年から14年まで、僕と彼とは日本天狗党の信州国際音楽村での年一回の合宿セッションに欠かさず参加してきたので、その寝食共にした共演回数は結構なものになる。そういうわけで、この日も一緒に音を出していて、阿吽の呼吸というか、手の内を知り尽くした者同士のインタープレイになった。

3人でやっているときも、音だけで誤解しようのない的確なコミュニケーションとコンセンサスができる集団即興になったと思う。3人とも意地悪なことをせず、素直かつ誠実にオトナの会話をして合意形成のできるトリオ、という感じだったかな。そうだ、このトリオを「談合トリオ」と名付けようか・・・・。

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写真は、オーナーの黒田さん撮影。このたびも拝借しました。ありがとうございます。